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建設経営NEWS&編集日誌
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2002-2-22(金)
コストダウンvsリードタイム短縮


2002-2-20プロセスアプローチで早くと速くの違いについて書きましたがその続きです。工期短縮など全体の早さを考える場合
先に個別の工程を速くした後、全体を見渡して早くする
全体を早くしようと考えてから、個別を速くする
どちらという順番をとっても結果は同じように思えます。ちょっと考えてみました。

「黒船を迎えた製造現場」西沢隆二 (著)
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稼働率優先の問題点は何か
なぜ、製造周期効率優先がコストダウンに有利なのか、それはまず、稼働率向上を先にやると、製造周期効率を改善するとき、一時稼働率を下げることになり、振り出しに戻ることになるからである。これは段取り改善が典型例である。
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少々分かりにくいかもしれませんが非常に大事です。

複雑系スケジューリング「クリティカルパス」に書いたモーニングセット作成の例では、高速湯沸器を買って湯を速く沸かしても、パンが焼けないので全体が早くならないというケースを書いています。
もしそれぞれの稼働率を上げて、それから全体を見ようとすると、パンを焼くオーブントースターを高速なのに変えたり、高速湯沸器を買ったりしてしまいます。買わないにしても色々な改善を加えてコーヒー作成を速めたりします。

その後全体を早くする事を考えると、パンが出来るのが遅ければ、どっちみち待っていないといけませんので、コーヒー工程にどんな改善を加えようと意味がないことに気づきます。しかし既に投資していたら損失は取り返せません。

しかも高速でコーヒーを作ると、パンを待っている間にコーヒーが冷めてしまうという新しい問題も発生します。さめたコーヒーは出せないので作り直しです。(品質による損失発生)ゆっくり沸かせる機械に買い換えです。

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製造周期効率というのは、全体工程のバランスを考えるので全体効率に関係する。稼働率は個々の部分の効率に関係する。したがって、製造周期効率優先とは、いいかえれば、全体の効率向上を先にやって、それから部分効率向上に入るという方法である。逆に部分効率向上から入ると、次に全体効率向上のときにまた、部分効率をやり直すことになる。
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製造周期効率とは、実作業時間÷全体工期です。 全体を見回し、問題が何か見つけ、それから個別の対策をしないと全体は早くならないという事です。

この話はコストダウンと短納期どっちを優先するかという話に拡がります。コストダウンの場合、どの工程をコストダウンしても全体のコストは下がります。個別の原価計算データを見て個々が下がっていれば、その合計である総原価は下がります

短納期の場合、個々を速くしても、全体が早まりません。モーニングセット作成の例が特殊とはいえません。ほとんど全ての工事は平行作業を行っておりネットワーク工程表で表すことが出来ます。どの工事にも速くすべき少数のクリティカルパス工程と、全体に影響しない非クリティカルパス工程があります。

納期そのままでコストダウンできればまぁ良いかと思ってしまいますが、よく考えればそれも出来ません。コストダウンしろといって実行予算案とにらめっこしてもコストは下がりません。出来ることと言えば下請を叩くとか、電気を消し回るとか。
下請を叩いてもみんな叩かれるの分かっているので高めに見積するようになるだけで結局元通りです。電気を消しまわっても微々たるコストダウンで今の価格下落に耐えうるようなコストダウンはできません。

本格的なコストダウンには納期短縮、品質向上、安全向上といった技術向上でしか出来ないのです。

先に全体を見て、結果的にコストダウンできるような仕組みを作らないと真の問題解決にはなりません。

2002-2-21(木)
バク


夢を食べて生きるバクという伝説の動物がいるそうですが、人間夢を食べられませんので金が必要です。
しかし金があっても夢がないと生きるの辛いという事も事実です。

今建設産業は夢を金もないという感じになって行きつつありますが、あまりに寂しいのでちょっと夢のような事でも書いてみます。

2002-1-16公共団体に経営をで、官庁をサービス企業として書いています。インフラ提供というサービスを市民に対して行い、市民は税金というお金を払うという形です。

2002-2-10顧客の顧客で、建設産業は一連の鎖(サプライチェーン)の形になっていると書いています。官庁の顧客「市民」が税金を払ってくれないと鎖に位置する会社は全て儲からなくなります。

今の状況は、インフラ提供サービスをどんどん行っても、市民の所得が上がらず税金をあまり払ってくれないという状況です。官庁の税収はどんどん減っていますので、鎖の中の建設会社・設計会社・材料調達会社みな減収しています。
どうすればいいでしょうか

例えば防災工事を考えます。台風がくると大荒れになる河川があるとします。放っておくと河川が氾濫して街は水浸しになります。水浸しになると市民生活はめちゃめちゃになりますので、所得が減少して税収は減ります。そして鎖の中の会社全部が減収します。

これは困りますので、川に堤防を付けたり浚渫したりというサービスを提供します。氾濫を押さえられたら市民所得減を防げますので鎖の皆の売上が上がります。

こうして今まで工事しているわけですが、どの河川をどの位工事すべきか、どの場所をすべきかという問題が起こります。そこの住民に聞けば皆自分の家から近い所をやって欲しいでしょう。しかし税収は限られていますので全部やるわけにもいきません。

そこで専門の方々が詳細に調査し、計画を作ってどうするか決めて言っている訳ですが、工事しすぎているのではないか?耐震基準が厳しすぎてコスト高になっているのではないか?という話も良く聞きます。現状は、国民所得減少、財政パンク状態です。

台風がいつ、どんな規模で、どこにくるという未来の事は、色々研究されていますが、完璧に分かると言うことは今のところありません。あくまで予測です

予測によって、どこにどのぐらいの工事が必要か決める必要がありますので、防災工事計画も完璧になることはありえません。(今のところ、、)

災害の被害を最小限にとどめられれば市民所得があがり、税収は増え、工事に関わる人トータルの所得が増えます。防災工事の必要性の精度を高めて無駄なく工事を行えば全員に取って良さそうです。

台風の不確実性は複雑系と捉えられます。複雑に対処するためには、出来るだけ意志決定を先延ばしにする「先送り」戦略があります。
「建設業および建設関連業における投資方法」

台風の不確実性に対処するためには、工事の意志決定を出来るだけ先延ばしにすれば良さそうです。

10年間にどこに、どの位の台風がくるのか予測して工事計画を立てるより、台風が発生した日にどこに、どれ位の台風が来るのか予測する方が予測の精度が高まります。台風が到着する前日ならばどこにどの位の工事をやるべきか、かなり精度の高い計画が作れるでしょう。

例えば今太平洋に台風が到着した、○○に到着する可能性大、後一日で到着しそうだ。○○の○○川の上流にダムを建設しなければ甚大な被害がでる。すぐ工事しよう。
こういう状態なら相当に精度が高い計画になりますので無駄のない工事が出来るかもしれません。緊急に土嚢を積むといった工事でなく、一から堤防を作ってしまうとか、ダムを造ってしまうような規模の工事をするのです。

こんな無茶苦茶な事を実現するためには、工事の計画、設計、調達、施工全てのプロセスのリードタイムが無茶苦茶短くなる必要があります。後一日で○○川上流ダム建設をしなければならないとなると、工期は設計のプロセスを含めて1日以下です。工期半日とかでダムを造るわけです。豊臣秀吉の一夜城みたいなモンですね。

まぁかなり極端に書きましたので全然現実味ないですが、建設産業のみんなが協力してプロセスを同期・改善すれば、地球環境という複雑な現実にも対処できる日が来るかもしれません。そうなればみんなが喜んで所得も増えるかももしれませんね。。。


2002-2-20(水)
プロセスアプローチ


リニューアルサイトの方でaBUSINESS-strategy大夫整理しました。あとはTOC雑感だけです。どうしてもまとまった時間とれないので少しずつ新サイトを作る形になっていますが、こういう事をすると、段取替時間が何度も発生し作業のスピードは落ちます。

strategy項目掲載の文と、財務管理掲載の文をリニューアルする作業、それぞれ一気に書くケース。交互にやるケースを比較してみます。
二つの仕事のフローをきちんと見ると

1.
<strategy準備>→<strategy作成>→<財務準備>→<財務作成>

2.
<strategy準備>→<strategy半分作成>→<財務準備>→<財務作成>→<strategy準備>→<strategy残作成>

このようになるます。2の流れをみれば
<strategy準備>が2回ありますのでこの分が段取替時間増加になり、作業全体の工期を遅らせるわけです。

strategy掲載の複雑系スケジューリングに「マルチタスク」としてこのあたりにふれています。

ところで複雑系スケジューリングを書くとき「早く」と「速く」はどう違うのか悩みました。最近は面倒なので「はやく」と平仮名で書いていましたが、先日から読んでいる「黒船を迎えた製造現場」西沢隆二著にこの違いが書かれています。

>>製造活動の目標は、「より良いものを、より早く、より速く、より安く」と四つあげたが、この「早く」が製造周期効率向上であり、より「速く」が単位当たりの製造量増大である。製造周期効率の向上優先とともに、この「速く」は時にはコストアップの原因となるので目標は三つになった<<<

目標は「早い、安い、うまい」の3つになり、「速く」は除くことになったそうです。

「速く」と「早く」の違いをざっくり言うと、「速く」は個々の業務のスピード、「早く」は工期など全体のリードタイムを指すようです。

もう少し正確に書くと
「早く」製造周期効率とは、加工時間合計÷製造期間
「速く」は「稼働率」となります
速く仕事するという事は、<strategy作成><財務作成>それぞれの稼働率を高め「速く」作成する事になります。しかし「早く」という事は「段取替時間」等を含めて全体リニューアルが早まるという事になります。

もちろん全体リニューアル完成が目標ですので「早い」の方が重要です。各作成作業が「速く」なっても全体が「早く」ならなければ意味がありません。段取替時間や待ち時間を含めトータルで工期が早まる方法を考える必要があります。

この本ではビジネス・プロセス・リエンジニアリング(BPR)について元はトヨタの製造格子理論であるとして詳細に説明されています。
プロセスをリエンジニアリングするとは、個々の稼働率を上げることではありません。各作業間にある段取替や待ち時間を含め全体プロセスを早めるというアプローチです。
プロセスアプローチとは何か、BPRとは何か、日本式生産管理とは何か非常に理解できる本です。このあたりはまた今度。

2002-2-19(火)
改善


分かりやすく説明するという事はほんとに難しい。何とか出来ないかいつも考えています。

自分の仕事の場合、お客さんに「これと、あれと、それと、あいつを用意してください」と言ったことを説明します。自分の業務のボトルネックは「申請書を作る」という作業ですので、このボトルネックを守って納期短縮するためには必要書類を完全にそろえた状態で作成しなければなりません。

経審の場合、4種類の決算変更届必要物、14種類の経審必要物。
合計18種類をお客さんにそろえて貰わなければなりません。

取りに行くとちゃんと用意できていないケースが数多くあります。酷いときは再度伺わなければなりません。そうすると仕事が遅れて私が困ります。

「何で用意してないんですか!!」とお客さんの社長に怒ってみるとたぶん私は楽になるでしょう。たぶん来年から仕事こなくなるので、、(^_^)
そんな事出来ません、、、
心の中では「なんでやねん」と思っていますが、それを言ってもしょうがないので工夫するしかありません。

入社当時は電話で必要書類を説明するという恐ろしい状態でしたが今では大夫改善しました。
私の場合、申請依頼があったり、申請の時期がくると、MS-projectの経審雛形ファイルを開き、お客様用に日程を変えて、projectに添付されている必要物案内エクセルファイルをFAXで送信する。という流れになります。これによってお客さんの違いによるバラツキを押さえられます。
メールでやれる会社もぼちぼち出てきました。

色々な業務をまとめている西原統合projectファイルは、超整理手帳に印刷されています。これを見るとそろそろ用意完了しているので貰いに行く日だと分かります。そして電話して取りに行くという流れになります。これで作業日程を管理できるようにしました。

しかしまだまだです。
問題を解決するためには、QCでは5つのWHYを探ると良いそうです。

1.何故仕事が遅れるのか → 書類作成が長くかかる
2.何故長くかかるのか → 書類作成が一度に出来ない
3.何故出来ない → 必要物がバラバラに到着する
4.何故バラバラか → お客さんがちゃんと揃えてくれない
5.何故揃えてくれないのか → 案内文に問題がある?


こんな感じで5つのWHYを探る事になるでしょうか?相手に送るFAX文に問題があると考えられます。もっと分かりやすい案内文を書けたらちゃんと揃えてくれるかもしれません。

しかしこれが難しい、、、、

野口悠紀雄氏の本に人間は一度に7つまでしか覚えられないという話が載っていました。マジカルナンバー7というそうです。
となると経審で14種類も用意してくれというのは、一度に言っても難しいかもしれません。他の本では一度に4つ位しか覚えられない。3つの人もいる。それが人間の記憶力の差という事が書かれていました。

用意して貰う数を減らせばいいかもしれません。例えばお借りする昨年の申請書などを返さずにはじめから預かっておくとか。こうすれば揃えて貰う数を減らせます。
しかしこれ結構している人いるようですがモラルに反すると思うのでうちでは御法度です。

今字ばっかりの案内文なので、昨年借りた物を画像にして画像入案内文にするといいかもしれません。

他にも何かいいアイデア見つけないといけません。

こういった改善は実際に作業をしている現場の人にしか行えません。社長や経営コンサルタントに「経審の納期をはやくする方法」聞いても具体的な方法教えてくれるはずありません。そんな本も売っていないでしょう。

改善の枠組みやヒントを教えて貰い、それを現場が応用して「自分」で改善しなければなりません。改善は地道な作業で、なかなか大変です。

2002-2-18 (金)

[誰がやったのだ]

ISO9000のコンサルティングされている西沢総研様からリンク許諾のメール頂きました。また4社ほど掲載依頼のメール頂いています。全てHPリニューアル完成後掲載いたしますので、少々お待ちください。m(__)m

さて西沢総研の西沢氏とのメールのやりとりで色々教えて頂いた上本2冊まで頂きました。m(__)m

「黒船を迎えた製造現場―ISO9000シリーズ・リエンジニアリングを変革の第一歩に」西沢 隆二 (著)

「こんなISO9000はいらない」ジョン セドン (著), 西沢 隆二 (翻訳)

「黒船を迎えた製造現場」を読んでいる最中ですが、興味深い話が掲載されています。

>>>柳田邦男氏は「誰がやったのだからの決別」で次のように指摘している「(前略)日本のように、刑罰や処分を優先する国柄では、どうしても「誰がやったのだ」という発想が、司法当局から行政機関、企業、ジャーナリズム、一般の人々に至るまで、あらゆる階層にしみついている。その言う中で(中略)科学的・合理的な要因分類の視点は、なかなか受容されにくい。(中略)高度技術社会におけるリスクマネジメントは、このような発想の転換をベースにしなければ前進を期待できないと言うべきであろう」

この「誰がやったのだ」は、仕事は現場任せ、人事は中央集権という管理体制にも一因あるようだ。<<<

この話はISO9000でのトレーサビリティーが日本企業でうまく機能しない理由を書かれている所ですが、非常に興味深い話です。

問題の根本原因を探ることは非常に重要です。しかし「誰がやった」という事になると和を乱すことになります。ですので、日本では和を乱す原因追及をあまりせず、事後の「改善」策立案を優先させていたとの分析です。

こういう「誰がやったのだ」的話良くあります。
昨日のサンデープロジェクトで金融監督庁の話がありましたが、田原惣一郎が言うに、
「再度の銀行への資本注入を行えば、柳沢大臣などが過去行った、銀行への資本注入政策失敗が明るみになるので責任問題に発展する」という話を激しく強調していました。

この話が事実かどうか分かりませんが、大臣の責任についてとやかくいって日本が良くなるのか非常に疑問です。もちろん過去の政策の失敗原因を追及するのは大事ですが、「誰がやったのだ」的責任追及で一体何が良くなるのでしょう。テレビなので面白くしたいのでしょうが、「誰が悪い」を連発する田原・久米両氏の報道にはいい加減うんざりします。

問題解決には「誰がやったのだ」という人の問題でなく、何故間違った意志決定をしたのか「環境」分析が必要です。

私は建設業の問題は、建設業にマネジメントが行われていない、現場監督は「成り行き管理」を行っているという事だと思っています。しかし社長や現場監督がサボっているとはとても思えません、激務をこなしている人を沢山知っています。

社長や現場監督の個人的能力に問題があるのではなく、おかれている環境に問題があると考えなければなりません。その環境を把握し、変えていく活動がマネジメントだと考えています。

今建設業に取ってまず重要な戦略は「はやく」という部分だと思っています。ただし発注量は減っていますので既存の工事をはやくするだけでは生き残れません。新しい事業に挑戦することが必要になります。

新しい事業開発は、ほとんどのケースが失敗します。未来は誰にもわかりませんので新事業の成功はほぼ偶然といってもいい確率になります。

この環境でリスクを減らすためには、出来るだけ情報が集まるまで先送りした上で、新事業開発期間を「はやく」して先手を打てるようなスピード経営管理技術が必要だと考えています。

しかし、それ以前に「誰がやったのだ」という追求姿勢が社内に残っていれば、ほとんどが失敗する新事業開発など誰も挑戦しなくなるのは明らかです。
「誰がやったのだ」「誰が悪いのだ」という考え方からまず決別しなければなりません。



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