トムピータース「経営破壊」
作成日 1999/5/28
改訂日 2000/12/27
Ver.1.5

トム・ピータースはコンサルタント会社マッキンゼーを退社し、現在はトムピータースグループの代表を務める経営コンサルタント。著書は「エクセレントカンパニー」「経営革命」など。トムピータースは、80年代日本企業がアメリカ市場を席巻し各企業が「カイゼン」「カンバン」など日本的経営手法を導入する事に懸命だった当時「エクセレントカンパニー」を発行、計量的分析を中心とする従来の経営論に異議を唱え「人間の想像力」の重要性を強調した。ピータースの主催する「2日コースの経営セミナー」は30万円の高額でありながら受講希望者が殺到したという。今回紹介する「経営破壊」はそのセミナーを要約したもの。この本はどんな新しい経営をすればよいのかと言ったことを書いた物ではなく、ただただ刺激的な言葉を並べたてた本ですが、所々に近い将来必ず必要になる物を指し示しており考えさせられる刺激的な本です。1994年TBSブリタニカ発行「トム・ピータースの経営破壊
 
 
 
●あらゆる物を「破棄」しよう
 
90年代アメリカは景気回復、景気拡大が順調に行われたが人員削減の流れは全く止まらなかった。将来アメリカでは人々は「マンパワーの派遣社員」になるか、企業家になるかどちらかしかないという。この状況について、ピータースは経営環境の変化があまりに激しいことを指摘し「スピードの時代」に生き残るには企業は「変革」するだけでは駄目ですべてを「破棄」する覚悟が必要だと唱える。彼はスピードの時代を「クレージな時代」と表現し、クレージーな時代にはクレージーな経営を行わなければならないと読者を挑発する。
 
このため「分権制」「権限付与」「TQM」「顧客との密着」「リエンジニアリング」「得意分野に特化する」といった概念を超えた「変革」が必要である。顧客は「優れた品質」の商品を求めているのをすでに超えており「魅力的な品質」を求めている。この様な環境では、やるべき事は徹底してやり抜かなければならない「変革」を超えた「破壊」「革新」を行わなければならないとしている。
 
●分権を超えて(新しい時代に必要な物)
 
「これからの経営はモノよりもアタマ」「マイクロソフト社の強みはただ一つ、人間の想像力」このスピードの時代に生き残るための経営は「人間の想像力」を引き出す経営を行わなければならないことを強調している。この想像力を引き出すためには組織を分権化しなければならないとし1000人や何百人の組織では「知的労働」は不可能だとしている。なるべく少人数の独立したユニット間の連携により業務を行うのが理想であり、最終的にピータースが想像する社会は2人組が集まったドナーツ状の組織である。
 
 
●ローラデックス型企業
 
ドナーツ状の組織は、ホテルの車庫係であれ、受付係であれプログラマーであれ並はずれた専門能力を築き上げ独立心の持った人々の集まりだ、ダムを建設するにも、飛行機を開発するにもこの様なフリーランサーがたちどころに集い仕事をし、1日だけとか、1週間、1年といった限られた期間だけチームを組んで、今日の時点で開かれている市場の好機をつかまなければならない、何故ならもう明日にはその市場は閉まっているかもしれないのだ。このような経営スタイル「ローラデックス型企業」の実現が必要としている。
 
この様な企業形態では、人々は会社に対し忠誠を尽くすといった考えは全くなくなり自分の築いた人脈ネットワーク(ローラデックス)に忠誠心を抱くようになり、自分の履歴書に書き込める仕事を探し続ける、そして従来型経営は破壊されるとしている。
 
●ローラデックス型企業実現への道筋
 
ピータスはこの変化の激しい環境に対応するためには、出来るだけ柔軟な組織作りが必要
といい人間の想像力を発揮するための「知識の発見と開発」「知識の共有と活用」を説いている、そのためには従来的な企業を「破壊」しなければならないとしているが「創造」すべきものは何かについて具体的な事はあまり書かれていない。ただ「人脈ネットワーク」
と「通信ネットワーク」の構築の重要性、ナレッジマネジメントの様な知識の共有の重要性を示し、そして「奇妙さ」「突飛さ」という概念を取り込んだ「けったいな会社」を作ってみようと結んでいる。

トムピーターズの提唱する労務管理方法「レジュメイング」>>
 

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