TOCブックレビュー
作成日 2002/5/2
改訂日 2002/5/9
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生産工場革新の小説「ザ・ゴール」の日本語訳出版がベストセラーになりその背景にある理論「TOC制約条件の理論」が注目を集めています。
TOCは従来の経営手法と異なった考え方が多く、従来型の経営手法の導入がうまくいかなかった建設業にとっても参考になる事が多々あると思われます。

TOC関連書物は多数ありますが、TOCを理解するために特に参考になる8冊についてご紹介します。

ザ・ゴール エリヤフ・ゴールドラット著

やはりまずは、ザ・ゴールでしょう。
工場長アレックスは、後3ヶ月で業績を改善させないと、工場を閉鎖すると宣告されます。そんなおり出会った大学時代の教授ジョナの「物の考え方」を聞き、アレックス自身が自身の工場改革方法を見つけ改革を進めていく小説。TOCを開発したイスラエル人エリヤフ・ゴールドラット氏自ら書いた小説です。

TOC革命(制約条件の理論)稲垣公夫著

TOCの概要を短くわかりやすくまとめています。前半は日本の製造業の企業経営者が、級友の教授からTOCの考え方をアドバイスしてもらい、TOCを導入していく小説。後半はTOCの技術を簡潔に解説しています。ザ・ゴールより大夫薄いのでまずはじめに読んでもよい一冊でしょう。

「在庫が減る!利益が上がる!会社が変わる! ― 会社たて直しの究極の改善手法TOC」村上 悟 (著), 石田 忠由 (著)

2時間でTOCを解説するための本。TOCの考え方・具体的な技術を把握できます。

TOC制約条件の理論は、「全体能力は一つの部分によって決まる」という全体最適の考え方を具体的に展開する方法論です。工場全体の能力は一カ所のボトルネック工程において決まりますし、様々な良くない結果を巻き起こしている原因の7割は一つの中核問題が引き起こしていると考えます。

この考えを経営において展開するため、以下のような具体的な管理技術を提供しています。
・「ドラムバッファーロープ(DBR)」とよばれる生産スケジューリング方法
・「クリティカルチェーン」とよばれるプロジェクト計画手法
・「思考プロセス」とよばれる問題解決のための5つの図法
・全体最適を阻害する原価計算に変わる管理会計「スループット会計」
・一企業の改善を超え商品供給全体管理のための「サプライチェーンマネジメント」

以下はそれぞれの技術を実際に導入するために参考になる書物です。

TOC入門「実践者のための」導入ノウハウ・手順 村上悟著

この本は入門というタイトルになっていますが、TOC自体の入門ではなく、TOCを具体的に導入するための入門という位置づけです。
この本を読むことで具体的なTOC展開のイメージを作ることが出来る名著です。DBR・思考プロセスが特にわかりやすく解説されています。TOCを本気で知りたい方は是非。

「TOCクリティカル・チェーン革命」稲垣公夫著


TOCは製造業を中心に書かれているため、ザ・ゴールを読んでも、建設業など受注生産方式の産業では導入をイメージしにくいと思われます。
この本では、PERTとよばれる工程管理手法を「全体を決めるのは一点」というTOCの考え方によって拡張した、クリティカルチェーンとよばれる手法を解説してあります。
前半は小説。後半は技術解説という形式を取っています。

クリティカルチェーンを知れば、TOCは製造業だけの生産管理手法ではないことが理解できます。

「TOC意思決定の技術」MLスリカンス+SAロバートソン著

スループット会計とよばれる管理会計手法の具体的な導入について詳細に書かれています。何故原価計算が誤った意志決定を引き起こすのか?具体的にスループット会計によって意志決定する方法は?実際に使っているテンプレートを呈示して解説されています。

ザ・ゴール2エリヤフ・ゴールドラット著


思考プロセスとよばれる問題解決技法について書かれた小説。ザ・ゴールで工場の改善に成功したアレックスロゴが、販売・マーケティングの問題に思考プロセスを使って解決をはかります。問題解決技のために5つの図法を提供しています。

「制約理論(TOC)のインプリメンテーション」MJウォッペル著


TOC導入コンサルタントが、導入スケジュールなど具体的な展開手法を解説しています。実際の導入現場でおこる生々しい話が随所に書かれ、非常に参考になります。

TOC制約条件の理論は、トヨタのJITなど日本式生産管理と同じであると指摘する人が結構います。確かに背景にある考え方が日本の生産管理の物であり、日本の生産管理を研究して開発されたのは間違いないでしょう。
JITとTOCの生産スケジュールは大きく異なる部分があるのですが、TOCが興味深いと思わされるのはバッファー管理を中心とした変動への対応方法です。

複雑系とよばれる新しい科学がありますが、TOCもその一種であると考えられ従来の日本式生産管理と異なる部分です。「タイムマシーンはないので未来は予測できない」この現実社会にどうやって対処するか、具体的に提案しています。

「みんなが一生懸命働く工場は生産性が低い」「完全にバランスされた工場は倒産する危険が高い」「在庫ゼロを目指すのは危険」「個別製品原価などない」「そもそも世の中に矛盾・対立などない」

興味深い台詞が満載です。是非味わってみてください。
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