中小企業政策の変化
作成日 2001/4/6
改訂日 2001/7/21
Ver.1.5


中小企業庁の政策の変遷について書かれたものを読みました。大変興味深い物です。

マルクス経済学の「二重構造」の仮説によると、市場原理に任せると弱者(中小企業)は強者(大企業)によって必ず駆逐され独占された市場が生まれるとしています。よって政策を行わなければならないという事が基本になっています。

これにより中小企業と大企業の格差是正の政策を行うとして中小企業庁が誕生しました。ここでいう格差とは「賃金格差」と「生産性格差」を差しています。

では生産性とは何か簡単に解説すると以下の通りです。

生産性とは、従業員一人あたりの付加価値を差します。
生産性=付加価値額÷職員数 の式で表せます。
「付加価値額」とは「売上高-材料費-外注費-労務費」
つまり企業が獲得した売上から外部資源分を差し引いた物になります。
よって生産性とは従業員一人が自分の力で稼ぎ出す額という事になります。この額に大企業と中小企業では差があるということです。


では、生産性をもう少し詳しく見ると

付加価値額/職員数=(設備額/職員数)×(付加価値額/設備額)

という関係になっています。「企業が従業員に与えられる設備」と「設備が生み出せる付加価値」を掛けた物が生産性になるという事です。

こう考えると、大量生産してどんどん売れる「規模の経済性」の時代は、大企業が有利であることが見えてきます。大企業ならどんどん設備に投資して機械化を進められますが、中小では資金不足でそうはいきません。この差(設備額/職員数)が格差の原因という事になります。


そこで昭和30年〜40年代の高度成長期、中小企業庁は、中小企業の設備を近代化支援策を打ち出しました。「設備近代化貸付」が有名な施策です。

中小企業でも設備投資がすすみ一定の格差是正がおこりましたが、一定のところで止まってしまうようになります。

物をどんどん大量生産すれば売れる時代が終わったのです。企業は多品種少量生産といった「範囲の経済性」を生かした経営が必要になってきました。
そうなると生産性は(付加価値/設備額)の方にリンクするようになりました。設備が生み出す付加価値の率です。

この数値を上昇させるためには機械があるだけでは駄目でそれをどのように使うのか人材の育成が重要なテーマになります。

そこで昭和50年〜60年代は「ソフトな経営資源」を充実させる施策を行いました。「技術開発支援制度」「中小企業大学校」「中小企業地域情報センター」などを設立運営、人の育成に力をいれます。

バブル崩壊後現代になるとITの進展と共に大きく環境が変化します。
外部の力をうまく使って生産性を上げる「連結の経済性」の時代になってきたのです。

中小企業でも、大企業と連携するケースは多々行われ、かならずしも大企業より生産性が低いとはいえない中小企業がどんどん登場しています。
ネットワークを通じて範囲の経済性が行われるようになり、生産性と規模がリンクしなくなってきました。

この時代になると、生産性を上げるには、他社との連携により「相乗効果」をどれだけ上げられるかが大きなポイントになります。

そこで中小企業庁は、昨年の中小企業基本法改正により、一律に中小企業は弱者であるという「二重構造論」を捨て、イノベーションを支援する「経営革新支援法」「創業支援策の充実」ネットワーク化支援の「産学連携支援」「融合化政策」といった施策を打ち出しています。

時代と共に施策もどんどん変化している訳ですね。

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