技術者の適正配置
作成日 1999/5/28
改訂日
Ver.1


建設省は「不良不適格業者排除対策について」を平成10年12月発表しておりますが、11年4月28日「監理技術者資格者証運用マニュアル」で技術者の現場専任制を行政担当者が指導する指針を発表しています。技術者の専任制を把握するためにコリンズの利用、経営事項審査での工事経歴書記載に配置技術者の記載などを利用して専任制に疑義がないか監督官庁は把握しています。今回はこの専任制とはなにかについて建設しんこう7月号「技術者の適正な配置の徹底について(建設省建設経済局建設業課)」よりまとめます。
 
●技術者の専任制
公共性のある工作物に関する重要な工事については、主任技術者又は監理技術者を現場ごとに専任でおくことが規定されています。この制度は元請、下請のいずれにもかかわらず工事の契約期間は主任技術者又は監理技術者を配置しなければならず、他の現場を兼任する事はできません。
 
●公共性のある工作物に関する重要な工事とは
筆者が官公庁に問い合わせた所「ほとんど全ての工事と考えれば良い」と聞いていましたが、発表のマニュアルでは「請負金額2,500万円(建築一式は5,000万円)以上の、個人住宅を除くほとんどの工事」を指すとしています。
 
●専任で設置すべき期間とは
下請工事については、施工期間の全ての期間技術者を配置しなければなりません。元請工事については、基本的に契約工期が専任で設置すべき期間とされますが、工事現場が不稼働であることが明確な期間、工場製作のみが稼働している期間は必ずしも専任を要しません。
●技術者と会社の関係
専任で配置する技術者は直接的かつ恒常的にその会社に雇用される者でなければなりません。つまり当該企業の健康保険加入者など経営事項審査技術職員名簿に記載されるべき技術者になります。また官公庁が発注する工事に専任でおかれる監理技術者については常に資格者証を携帯し、発注者から提示を求められた場合は提示しなければなりません。管理技術者資格者証には所属建設会社名が記載されています。
 
●建設業法22条丸投げの禁止
 そもそも技術者の専任制チェック強化は建設業法22条で規定されるいわゆる「丸投げの禁止」の運用を適正に行うためです。建設業界では、多段階の下請分業体制が古くから作られています。最も普及しているゼネコン方式とよばれる入札・契約方式では、土木建築工事の一括請負を行う業者(ゼネコン)、設計施工の分離、識別工事業者・設備工事業者等(サブコン)への下請により工事を完成されます。発注者はゼネコンを監督・検査を行い、ゼネコンは赤字になるリスクにたいして利潤を受けます。
 これは建設会社が需要の不安定に耐えうる企業づくりのため、固定費を削減する経営方法を探るなかでできあがったものです。営業と施工までも分離した経営スタイルが丸投げ会社とよばれる建設会社を生み出し、技術者を配置しない元請会社を発生させる事になっています。しかしこの方法は、最新の経営手法としてもてはやされるデル・コンピュータの経営手法となんらかわりありません。
 
●コンストラクション・マネジメントは丸投げ?
 米国などで行われる契約方式でコンストラクション・マネジメント方式とよばれる契約方式が注目を集めています。これはコンストラクション・マネジメント事業者(CM事業者)が発注者の立場に立ち総合的な建設管理を行い、コスト低減・工期短縮などの業務を行うものです。純粋CMの場合、CM事業者は定額の報酬とは別に、コスト低減した部分の一定割合を更に受け取る事になります。コスト低減部分がCM事業者の利益につなげるため従来の契約方式よりコスト意識が高くなると期待されています。
 
 しかしこの方式の実例を読むといわゆる丸投げ会社の業務となんら変わりないように感じました。建設大臣官房公共工事契約指導室長花岡氏はコンストラクション・マネジメントを官庁工事でも導入するための検討を始めるべきと提言していますが、この方式を導入すれば配置技術者をチェックして丸投げ会社を探す必要もなくなるかも知れません。丸投会社はCM事業者として区別して審査・入札させれば競争原理により不的確なCM事業者は排除されるのではないでしょうか。何十年も丸投会社は存在しているのです、いまさら監督を強化しても官公庁の負担が増えるだけで大きな効果はないように思います。
 このコンストラクション・マネジメントはまた別に調査をして掲載したいと考えています。
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