建設CALSは固定費を削減すること?
作成日 1999/12/3
改訂日 2000/12/27
Ver.1.5

建設業はだいたいの企業が大変厳しいわけですが、この解決策に固定費の削減すべきとしている物をたまに読みます。
固定費とは人件費、地代家賃など売上高に関係なく存在し続ける費用の事で、損益分岐点分析で使われる言葉です。売上高、変動費率が下がり続けると固定費を削減しなければ企業は存続できません。つまり土地を売ったり、人を解雇しないといけなくなるわけです。これが世間一般でいうリストラとよばれているものです。
 
 バブル崩壊以降建設業に限らず固定費を削減しないとならない状況になり、社員を解雇するといった話が沢山出ました。しかし、日本の労働法では社員を解雇すると言っても簡単ではありません。判例によると「明確な解雇の理由が示されない限り解雇は無効」となっており、ただ企業の売上が下がったとか、その人の成績が悪いとかいうぐらいでは解雇できません。ですので「いじめ」のような配置転換を行って自分から会社を退職するように長い時間を掛けてしむけたりするわけです。ですのでリストラへの取り組みは時間がかかるわけです。
 今日本の企業の現状は、大企業はリストラ計画を実行してもうすぐ終わる段階、中小企業のリストラはほとんど完了していると僕は感じています。建設業にしてもそうであって、景気の影響を最後に受けている中小公共土木系ゼネコンは遅れてリストラに取り組んでいますが、建築系は既にリストラが完了しているのではないでしょうか。リストラを完了できそうにない企業は、もう既に倒産していますし、この12月,3月あたりを乗り越えるのは厳しいでしょう。

 リストラをするという戦略はとっくに各企業は始めているのに今何故「建設CALS/EC→固定費の削減→リストラ」なんて話が出てくるのか不思議な感じがします。
 リストラ=固定費の削減を進めると、一時的に財務内容を改善することが出来ます。しかし根本的にその企業が強くなるわけではありません。ですのでリストラを行ったあと更なる戦略が必要になります。
 BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)コア・コンピタンスと言った言葉は、リストラの次に行うべき戦略としてアメリカで取り上げられました。僕は「建設CALS/ECを成功させる〜」に書いているようにCALSはBPRを前提に行うものだと考えています。ですので建設CALA/ECはリストラの後に行う戦略の一つと考えています。
 そう考えると建設CALS/ECは固定費を削減と考えるのには違和感を持ってしまいます。建設CALS/ECの話が社員の解雇の話になっていくのには驚いてしまいます。むしろ建設CALSは社員を解雇しないための戦略ではないでしょうか。
建設CALAを固定費を削減した後に行う戦略とすると、リストラのあと何をおこなうか、売上高の増加と変動費率(直工費)の引き下げです。各企業が建設CALS/ECを行ってすべき事は、情報技術を使った直工費の引き下げ、売上高の増加ではないでしょうか。
 情報システムを導入する場合、固定費の削減を目的とする場合と、変動費率の引き下げ、売上高の増加を目的とするのでは全く異なった話になります。固定費の削減=OA化、変動費率の引き下げ、売上高の増加=情報化。そういう事ではないでしょうか。

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