経営指標
作成日 1999/5/28
改訂日
Ver.1

筆者は日常的に建設会社の決算書をみており、経営事項審査受審業者については財務分析を行っています。旧経営状況分析16指標、新指標16など39の指標と「資金収支表」「資金運用表」「原価指標との対比」「発注者別売上高」など始めた頃は2,3だった指標もいつの間にか多くなってきました。これらの財務分析はロータスアプローチに入力した財務諸表をロータス1-2-3でグラフにして印刷します。たまに所長に「そんな作っても意味がない」と言われますが、実際に作業する時間は15分ぐらいですし、プログラムの知識がいる訳でもないので別段問題ありません。しかし分析してグラフを作ってもそれだけでは何の意味もありません。それを見てどう使うかが非常に重要です。基本的な利用「業界平均値との比較」について記載します。
 
 
●中小企業庁発表の業界平均値
 
通常指標は過去3年の推移を見る事と、業界平均値と見比べて今回の決算がどうだったのかを把握する事になります。平均値を見る上で資料になるのは中小企業庁発表「経営指標」と「原価指標」になります。これは毎年各産業の経営指標について、業種別、規模別に公表される物です。建設業の場合、土木、建築、造園など主要な業種は全て見ることが出来ます。「経営指標」ではROIや流動比率など旧経審採用比率のほとんどの平均値を見ることができ、「原価指標」では事務用品費や教育管理費など各費用の平均値まで見ることが出来ます。
そこで同規模同業種の比率と実際の顧問先の数値と見比べると良いはずですが、かなり現実離れした数値になってしまいます。
例えば完成工事高経常利益率は、8年度中小企業平均値(欠損+健全企業)を見ると2.9%ですが、2.9%も利益を出している企業は明らかに少ないのです。
 
●建設省発表の業界平均値
 
建設省では、法人で経営事項審査を受審する企業の平均値を集計し公表しています。(平成8年度分)これによると完成工事高経常利益率平均値は0.92%です。この0.92%とは売上高が10億円であれば920万円の経常利益が出た事をあらわしています。920万円の経常利益が出ていると400万円ぐらい税金を納める事になります。一方中小企業庁では2.9%10億円売って2千9百万円の利益です。これだけ離れていて業界平均値として公表する意味があるのでしょうか。「経営指標」ではアンケートによる調査のため統計処理上数値が高くなる事を断っているますがここまで高いのは調査の精度について疑問を持たざるを得ません。目標としてご利用下さいとかお茶を濁して使わざるを得ないのが現状です。
 
平均値としての精度は圧倒的に建設省の指標が正確であります、それを考えると中小企業庁の平均値データから分析を行うのは非常に危険と言わざるを得ません。
 
●業界平均値の利用
 
業界平均値の不正確さは色々な方が論及しており専門の人はほとんどの人が知っていますが、平均値を見ずに自社の過去3年の推移だけでは説得力のある資料が作れないのも事実
です。本年12月より経営事項審査が公表されるようになりました。筆者はこれにより経審に採用されている指標については地域別、業種別に集計でき正確な平均値を顧客に示せると考えていました。ところがこのデータは集計するなどの再利用が不可能な形になっています。(埼玉県だけはテキストデータで情報を公表しており再利用できる形になっている)建設業情報管理センターの販売する経営事項審査結果CDも非常に高額な値段で販売しながら、ほとんど再利用不能な形です。建設業情報管理センターは全国20万社と言われる経審受審業者の財務諸表データを持ちながら、詳細な資料の公開を行っていません。各自治体や中小企業庁はそれぞれ別にデータを収集しているのです。これでよいのでしょうか。
筆者は「役人はサボっている」などと言った事は全く思っていません。自分の関わる役所の方は悲惨な程働いています。しかし今の複雑な世の中は、役所の人々だけで問題を解決できるほど簡単には思えません。是非民間の活力を利用するためにも情報を積極的に公開して欲しい物です。(情報を積極的に公開している埼玉県のページはリンク集発注者に掲載しています)
 
●業界平均値を見られるサイト
 
中小企業庁 中小企業の経営指標
TKC経営指標
 

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