個の時代の労務管理
作成日 2000/12/27
改訂日
Ver.1

建設CALS/ECの時代は個の時代と言われています。アメリカが不況から脱出する時期に書かれたトム・ピーターズ著「経営破壊」では、「フリーランサーの思考様式を身につけろ 」「だれかがお前にはそんな権限はないと言われるか制止されるまで、自分には絶大な権限があるのだと思いこむ事だ。」と書かれています。


通常技術者という仕事はすばらしい品質の仕事を完成させる方法について常に考え、実行している人と言えます。よって技術に対する好奇心は非常に旺盛で、妥協をしたくありません。しかし一方で顧客ニーズと言った物をあまり考えなくなりがちですし、資金繰りなんて事はまず考えません。顧客ニーズは営業さん。資金繰りは経理屋さんにお任せになります。
ところが経営者というのは技術、ニーズ、資金繰すべてを同時に考えなければなりません。特に中小企業の経営者は自分一人で考えないといけない場合も多くあります。ですので一技術者とは考え方がまるで違います。

個の時代というのは企業に勤めていようとも独立して仕事をしているような状況をさしていますが、その場合一技術者であろうとも、一事務員であろうとも経営者的感覚をもって仕事に取り組んでいなければなりません。 

●オープンブックマネジメント

では実際に社員が経営者的考え方になるにはどうしたらいいでしょう。
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「雇い主は裕福だと従業員が考えている場合、上司が必死になって取り組んでいる問題も深刻には写らないだろう。・・・少しくらい支出が増えたからといって、どうってことはない。少々の事はいいじゃないか。こう考えるのが人間の常である。少額の余分の支出が、どれほど大きな影響力を持つかを知らなければ、じっくり考えることもない。どうせ会社が払うんじゃないか。何も心配することはないさ、と思うのである」
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ジョセフ&ジミー・ボイエット著「オープンブックマネジメント」で引用されている文です。従業員は自分の担当する範囲のデータは得ることができます。ところが会社全体の業績は知らないし、まして自分がどのように影響させているのか知らないわけで、こんな状況だと「自分もまぁ少しは悪いけどきっと他の誰か(通常経営者)が下手を打っているから会社の業績は悪いんだ」という考えになってしまうのも無理ありません。

オープンブックマネジメントとは簡単にいうと決算書を従業員にみせる経営手法です。建設業の場合既に経営事項審査で財務指標について公開されていますし、県などの許可係に行けば決算書、取引情報などは閲覧する事が出来ます。従業員も見ようと思えば見れるわけですが、問題なのは公開されているデータを見ても生かし切れないという事です。
経理担当者でなければ数字の並んだ決算書を見ても英語を読むような状況でさっぱり意味がわかりません。まして自分がその数字を作っている一員だという意識はなかなか生まれてきません。ですので如何に効率的に意味を分かるようにするかが鍵になりそうです。

経営者と従業員で決定的に違うのは情報の量です。情報共有が技術的・コスト的に簡単になっている今何の情報を共有すれば効果的か考えなければなりません。

●バランススコアカード

しかし決算書だけで会社の状態を把握するというのも無理な話です。
決算書というものは過去の1時期を金銭によって表示している情報にすぎません。過去だけをみて経営するのは、バックミラーだけをみて運転するようなものです。

そこでバランススコアカードという考え方があります。
これは1.財務的視点 2.顧客の視点 3.社内プロセスの視点 4.学習と成長の視点と4つの視点から企業の状態をモニターする事を提唱しています。

1財務的視点
これは普通に財務分析などで使われる分析を紹介しています。経審Y点もこの一つに使えそうです。もっと短期的に見るならキャシュフロー計算が使えそうに感じました。

2顧客の視点
これは、顧客満足度、顧客定着率、新規顧客獲得率、既存顧客売上成長率などをあげています。また不良率、対応時間などもあります。ある程度把握できそうな数値です。しかし顧客満足度を測るのは難しい、、

3社内プロセスの視点
社内プロセスに関する業績指標として、新製品の売上比率、次世代製品開発までの所要時間、新製品が損益分岐点に達するまでの時間などを上げています。うーんこれは簡単に測れるかな、、

4学習と成長の視点
従業員満足度、従業員の離職率、従業員一人あたりの付加価値、従業員一人あたりの提案件数、実施された提案件数などがあげられています。

4つの視点で分析した指標を作って従業員に公開するとしています。うーん。しかしちょっと複雑すぎるかぁ。。指標を作ることは出来そうですが、それを全従業員に理解活用させるとなると非常に厄介な事になりそうな気もします。うまくポイントを抽出して指標を作らないといけません。

ただ指標を作って公開しても「責任」といったものが経営者と従業員では全然違います。給与制度との連動が必要になってきます。

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