労務管理の基礎
作成日 1999/5/27
改訂日 2000/12/27
Ver.1.5

企業は、人・物・金・情報で成り立つと言われ特に「人」は最も重要な要素です。今回は「要員計画」「賃金」について労務管理の基本的な事についてまとめます。
 
●適正人件費額
 
標準労務費率を過去数年間にわたり分析し「売上高×標準労務費率」により人件費総額を決定する売上高配分方式(スキャロンプラン)「付加価値×労働分配率」により人件費総額を決定する付加価値配分方式(ラッカープラン)の2つがある。
労働分配率方式を唱えたラッカーは「成果配分の法則」の中で、米国の製造業の労働分配率が40%で一定している事を発見し、企業の労働分配率が40%を上回ると「設備投資や株主配当へ悪影響を及ぼす」下回ると「従業員のモラル低下がおこる」としている。(この書物は相当古い)
 
この考えを賞与総額決定に取り入れた方法は以下の通り
売上高配分方式  賞与額= 売上高 × 労務費率 - 既に支払った賃金総額
付加価値配分方式 賞与額= 付加価値額 × 労働分配率 - 既に支払った賃金総額
 
 
●要員計画
 
労務管理をするために重要な事は、一体会社に何人の人が必要かを考える事です。どんな能力の人をどの部門・職種に必要かを考えなければなりません。
 
小さな視点(ミクロ)と大きな視点(マクロ)2つの方向から考えて適正な人数を算出します。
●ミクロ的視点
作業量・時間分析をして現状を把握する→各部門の適正人員を把握し積み上げて全体の必要人数を出す
●マクロ的視点
利益計画を立てて適正な人数を把握する2つの方法がある
適正人員数1=(年間売上高×付加価値率×労働分配率)÷ 一人あたりの人件費
 
適正人員数2=(目標売上高×適正人件費率)÷ 一人あたりの人件費
 
これにより人数が多いと判断すれば雇用調整が必要になり(1)残業規制(2)有期契約者解約(3)配置転換・出向(4)一時帰休(5)希望退職者募集(6)一時解雇(7)退職勧奨(8)指名解雇の順に方法を検討します。
 
●賃金体系
 
賃金は基本給と生活関係の諸手当と役職手当などで構成されます。その中でも基本給は以下の3つに大別できます。日本の中小企業は普通、この3つの賃金を組み合わせた併存給体系を作っています。しかし人を評価する人事考課が難しいため徐々に年功賃金になり人件費負担が高くなる傾向がある。
(1)属人給
年齢・勤続年数・学歴など属人的な要素だけで決定される賃金。年功賃金とよばれるものはこの属人給の事。なお性別で決定する事は法律で禁じられている
 
(2)職務給
仕事の内容に応じて賃金を決める。職務を詳細に分析し重要度・難易度を把握して賃金を決める。
 
職務分析→職務記述書→職務明細書→職務評価
 
この順で検討し職務給体系を作り上げる。アメリカの賃金体系はこの方法が基本になっている。日本では一般的ではない。「職務評価が難しい」「配置転換などに対応できない」など理由。
 
(3)職能給
一人一人の職務遂行能力によって賃金を決定する。賃金テーブルとよばれる等級を作り、人事考課によって得られた評価を等級にあてはめていく。
 
職能調査→等級区分設定→資格要件の明確化→個人への格付実施
 
この順で職能給体系を作り上げる。日本で一般的な賃金体系。「詳細な職務評価の必要がない」「従業員の能力を基礎におくため配置転換に対応できる」「従業員に向上しようという意識がうまれる」事が良い点。課題となる点は、「能力の評価が絶対的な評価にならず相対的な評価にならざるを得ない」「運用が結局年功的になる」「ポスト不足になり職務に関係のない人件費が上昇する傾向になる」
 
 
●年棒制
上記に上げた給与体系では、賃金は会社が稼ぎ出した金額とは関係なく増減する。よって労働分配率の一定化をはかれるわけではない。その問題を解決するため実績に応じた賃金体系として最近年棒制が取り上げられている。
 年棒制は、主に管理職、重役に適用される。成果中心主義であるため社員の意識改革、人件費負担軽減できると考えられている。しかしそれには業績を確実に給与に結びつける「人事考課」が出来る必要がある。業績を適正に考課できなければモラル低下など逆効果になるおそれもある。
 また日本の産業構造は実際には年棒制になっているという意見もある。日本の産業構造は企業系列ごとに多段階に下請構造化されているが、ここの社長は全員年棒制を取っているのと同じであるとも考えられる。さらに解雇制限も受けない。「年棒制」への移行と「分社化」は同じ事とも考えられる。
 
<<中小企業の賃金体系確立にはROUMU.COM記載の内容が参考になります
 

| HOME | BACK | PAGE TOP |