経営状況分析(経審評点Y)
作成日 1999/5/27
改訂日
Ver.1

決算書でわかる経営状況とは
経営状況分析評点は、決算書から企業体質を把握するため12の指標を使い点数化しています。経審結果を公表するので同業他社との比較が容易に行えるので経営状況を把握するためにも十分活用できます。自社の欠点を知りよりよい経営を行うため是非ご活用下さい。界平均値は700点あたりになるよう作られています。よって貴社の財務内容の良否は700点を超えているか否かでまず判断できます。

平成11年度経審改正のポイント
昨年経営事項審査は大きく改正され従来の売上高重視の経審から決算書の分析「経営状況分析」の評価割合を多くしました。 続いて平成11年7月より経営状況分析の各評価方法が改正されます。 従来の経営状況分析は通常の経営診断で使われる経営分析指標を利用しており「流動比率をとにかく上げる」など対策も容易に考えられましたが、今回の改正では建設省独特の方法が用いられます。いままでの決算書の分析では、資金繰の良い会社(流動比率の高い会社)と経常利益の多い会社が高得点を採れていました。一方、今回の改正により注目すべき科目は 借入金、固定資産、支払利息、受取勘定です。これらが会社の規模に対して多いと評点が下がる可能性が出てきます。

●会社の規模に対して借入金が少ない会社
●会社の規模に対して固定資産(建物や機械など)が少ない会社
●売上高に対して 受取勘定が少ない会社(現金での受取が多い会社)

以上を満たす会社が経審の評点を上げます、逆の面がある会社は評点低下の可能性が出てきます。このことは、倒産に繋がりやすい項目を重点的に分析し、より倒産の可能性の少ない企業を把握し、規模の大きな工事は信頼できる企業に発注するとの建設省の方針をあらわしています。

経営状況分析改正後の決算を迎えるにあたっての注意点
昨年の経審改正、今回の改正が行われても従来どおり「売上高の多さ」、「技術者の数」は重要です。 しかし「決算書の分析評点割合が拡大している」「不況下では資金繰や利益率を重視しなければならない」事を考えるとこれからの経審対策には決算書をよくすることを考えなければなりません。以下に「来期の決算までに注意すること」「長期的に考える事」に分けて重要な点だけをまとめます。

短期的な視点
短期的(来期の決算までに)に経営状況分析評点を上げるために注意することとして、収益性、資金繰(流動性)の向上の2つがあげられます。
・収益性
収益性の3つの指標のうち売上高営業利益率を特に重視しています。従来の経審では経常利益が重視されてましたが今回の改正では 営業利益に比重が置かれている事を充分に考えて決算を行わなければなりません。
売上高営業利益率 営業利益÷売上高×100
総資本経常利益率 経常利益÷2年平均の総資本×100
キャシュフロー対売上高比率 キャシュフロー÷売上高×100
 
キャシュフロー=当期利益+当期減価償却実施額+引当金増加額−株主配当金−役員賞与金

・流動性

年の決算を迎えるに会ったって注意することは決算期日に完成工事未収入金、売掛金、受取手形などの 受取勘定を多く残さない事があげられます。受取勘定が多いと流動性の3項目の評点を悪化させる事になります。この事は掛売りや手形を受け取ってから早くに現金へ換金できているかどうかを分析しています。 工事完成からなるべく早く現金回収が出来れば流動性の評点を上げられると言うことになります。次に未成工事受入金を多くする事により流動性の評点を上げる事ができます。つまり 前受金を多くもらうと良くなるわけです。政府は不況対策として前受金の受取割合を増やすよう市町村に指導しています。(中間前金払制度の創設等について平成11年2月17日建設省経建発第25号)この様な制度を活用して今まで以上に前受金、中間金の確保に努めるべきでしょう。

流動性の新指標(全て低い方が良い)
必要運転資金月商倍率 (受取勘定+未成工事支出金−支払勘定−未成工事受入金)÷(売上高÷12)
立替工事高比率

(受取勘定+未成工事支出金−未成工事受入金)
÷(売上高+未成工事支出金)×100
受取勘定月商倍率 受取勘定÷(売上高÷12)
受取勘定=受取手形+完成工事未収入金+売掛金
支払勘定=支払手形+工事未払金+買掛金

決算期までに注意するポイント
●営業利益が多くなるよう利益率の高い工事受注を目指す
●期末に受取勘定を残さないよう現金回収までの時間を早める

長期的な視点
長期的に考えなければならない事として、借入金の抑制、適切な固定資産の購入計画、自己資本の増加があげられます。

・安全性
安全性の3つの指標は借入金、支払利息の多さが評点を左右する重要なポイントになっています。企業が借入金を必要とする理由は2つにわけられます。

@資金繰りに必要な運転資本の確保
A建物や機械など固定資産の購入資金

@については流動性の対策を充分にする事で借入を減少する事が出来ます。 Aについては長期的な視点に立って必要な物だけを購入するよう計画性をもって対応しなければなりません。 この2つの対策を行って借入金・支払利息を出来るだけ減少させないと経審の評点が下がる可能性が出てきます。 企業の規模に対して借入金が少ない企業は、官公庁から見た良い企業と判断されるわけです。

安全性の新指標(自己資本比率以外は低いほうがよい)
自己資本比率 自己資本÷総資本
有利子負債月商倍率 有利子負債÷(売上高÷12)
純支払利息比率 (支払利息−受取利息配当金)÷売上高×100
有利子負債=短期借入金+長期借入金+受取手形割引高(社債を含む)

・健全性
健全性の3つの指標は会社の規模に対して建物や機械などを過大に購入していないかをみる指標です。固定資産を必要以上に購入しようとすると「借入金が増加して安全性悪化」「資金繰りに充てる資金が不足して流動性悪化」「支払利息が多くなり収益性が悪化」と悪循環に陥ります。固定資産の購入には充分な検討と計画が必要に大事になります。
今回長期固定適合率という指標が採用されています。これは長期借入金と自己資本の合計額の範囲内で固定資産を購入しているかどうかを見るものです。 悪くてもこの長期固定適合比率が100%以上なければ資金繰りに悪影響をあたえます。(通常の財務分析で用いられる固定長期適合比率とは計算が逆になっていますのでご注意下さい。)
最終的には利益を十分にあげて利益金の積み立て(自己資本)だけで固定資産を購入する体制にするのが理想です。

健全性の新指標
自己資本対固定資産比率 自己資本÷固定資産×100
長期固定適合比率 (自己資本+固定負債)÷固定資産×100
付加価値対固定資産比率 売上高−(材料費+外注費)÷2年平均の固定資産×100


長期的なポイント
●借入金を出来るだけ少なくする
●固定資産購入は慎重に


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