財務諸表作成の注意点
作成日 1999/5/27
改訂日
Ver.1


(経理担当者向け 平成11年度改正経審対策)
 
平成11年7月より経審の評点算出方法のなかで決算書の分析(評点Y)の分析方法が改正されます。この改正に向けて短期的(来期の決算までに)に経営状況分析評点を上げるために注意することとして、収益性、資金繰(流動性)の向上の2つがあげられます。
流動性の評点をよくする決算書作成の注意点を記載します経理担当者は一読しておいて下さい。
●流動性
本年の決算を迎えるにあたって注意することは決算期日に完成工事未収入金、売掛金、受取手形などの受取勘定を多く残さないがあげられます。
受取勘定が多いと流動性の3項目の評点を悪化させる事になります。
この事は掛売りや手形を受け取ってから早くに現金へ換金できているかどうかを分析しています。工事完成からなるべく早く現金回収が出来れば流動性の評点を上げられると言うことになります。
            流動性の新指標(全て低い方が良い)
必要運転資金月商倍率 (受取勘定+未成工事支出金−支払勘定−未成工事受入金)÷(売上高÷12)×100
立替工事高比率 (受取勘定+未成工事支出金−未成工事受入金)÷(売上高+未成工事支出金)×100
受取勘定月商倍率 受取勘定÷(売上高÷12)
受取勘定=受取手形+完成工事未収入金+売掛金
支払勘定=支払手形+工事未払金+買掛金

●流動性の各指標と勘定科目
 
流動性の3指標の中でY点に影響を与える割合(寄与率)の順にならべると@立替工事高
比率A受取勘定月商倍率B必要運転資金月商倍率の順になります。もっとも重要な立替高比率を中心に解説します。
立替工事高比率 (受取勘定+未成工事支出金−未成工事受入金)÷(売上高+未成工事支出金)×100
 
 
 
 
●受取勘定
受取勘定とは、受取手形+完成工事未収入金+売掛金です。流動性の3つの指標は全て分子に受取勘定を取っています。この受取勘定の金額が流動性の評点を決定します。
立替工事高比率は受取勘定を売上高でわり算しており数値が高いほど悪いとなっています。これは決算の日に売上高に対してたくさん受取勘定をもっていると評点が低くなるということです
具体例)
5/31決算の日に工事売上100円を計上したとします。1年間でこの工事しかしていないとします。この場合売上回収には3つの方法があります。
 
1.代金全額を受取手形に仕訳した場合   
                 立替工事高比率 100÷100×100=100
2.代金全額を6月末に受け取る完成工事未収入金と仕訳した場合
 立替工事高比率 100÷100×100=100
3.代金全額を現金で決算期中に受取、現金として仕訳した場合  
 立替工事高比率 0÷100×100=0
  「3」が最も数値が低く良いので現金で回収するのが良いとなります。
●未成工事受入金
立替工事高比率、受取勘定月商倍率ともに分子から未成工事受入金を差し引きます。つまり未成工事受入金を多くする事により流動性の評点を上げる事ができます未成工事受入金とはまだ完成していない工事のために受け取った金額で前受金や中間金の事です。前受金を多くもらえれば資金繰りは良くなり評点Yもよくなります。政府は不況対策として前受金の受取割合を増やすよう市町村に指導しています。(中間前金払制度の創設等について平成11年2月17日建設省経建発第25号)この様な制度を活用して今まで以上に前受金、中間金の確保に努めるべきでしょう。
●未成工事支出金
未成工事支出金とは、まだ完成していない工事のために支出した工事原価です。この項目は分子と分母両方に加えているためそれほど注意する必要はないと考えられます。
●従来の流動性との違い
今までの流動性分析では、支払手形や買掛金など流動負債の額が非常に重要な要素になっていましたが、今回の改正では売上高と受取勘定の関係で流動性分析を行います。従来の流動負債の金額を中心に考える観点から、工事代金をいかに早く回収するかの観点に中心が移っている事を十分認識しておいて下さい。
 
 
記載した項目については税務上の問題を考慮に含んでおりません。税務上の問題点を顧問税理士とよく相談した上作成して頂くようお願いいたします。    
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