経審評点を上げるために(借入金を減らす方法)
作成日 2003/11/15
改訂日
Ver.1.5
行政書士向ソフトウェアーベンダー クリックス通信掲載 (行政書士向原稿)


先日、経審評点を上げるためのポイントは、「売上高」「技術者数」「借入金」「営業利益」この4つが大きく評点に影響を与えると書きました。今回はこの中でも「借入金」について取り上げます。

経審で借入金が影響するところは、経営状況分析(Y)の有利子負債月商倍率及び純支払利息比率になります。Y点は12の指標によって分析されますが、この2つの指標の寄与率は高く、Y点に大きな影響を与えています。

有利子負債月商倍率は借入金の額が少なければ良い方向へ、純支払利息比率は、通常借入金が多くなればなるほど支払利息額は多くなるため、借入金額が少なければ良い方向へ影響します。

では、借入金を減らすためにはどうすれば良いのか?これが今回の問題です。

借入金をする理由を考えると運転資金用。設備投資用の二つ分けられます。それぞれについて考えてみます。

●運転資金が必要な理由
運転資金が必要になる理由は、工事をおこなう実際のケースを考えてみれば理解できます。
工事をおこなう場合基本的な工事請負契約の場合、工事代金は後払いが原則です。たとえば工期が1年工事価格が1億円、工事原価9千万円の場合を考えると

契約がおこなわれ、1年たって工事が完成すれば料金を請求します。しかし請求してすぐに支払ってもらえず完成工事未収入金になります。更に相手が手形で6ヶ月後に払うケースなら受取手形1億円となり、現金が支払われるのは契約から1年半経った後という事になります。

原価の方を考えると、契約後すぐに材料購入しなければなりません。外注先には通常毎月外注費を支払います。更に自社の社員に給与などを毎月支払います。工事原価は、工事が完成する前に9千万円支払わなければなりません。

工事業者は先に現金で原価を支払い、後で売上高を現金で受け取るわけですから、このタイムラグの間をつないでいく資金が必要になります。これが運転資金が必要な理由であり、銀行から借り入れをおこす理由になります。

この運転資金については経審評点Y流動性の項目にて分析されています。必要運転資金月商倍率、立替工事高比率、受取勘定月商倍率の3つ。これらの項目を改善すれば借入金を減らすことが可能になります。

●必要運転資金を減らすためには
では必要運転資金を減らすためには具体的には何をすればよいでしょうか。ポイントは受取手形期間短縮など「資金回収面」と工期短縮の「工程管理」の二つです。

6ヶ月手形を2ヶ月に短縮してもらう、前受金を増額してもらうといった交渉ができれば必要運転資金は減少させられます。こういった資金回収面を改善するため契約交渉を行っていく事が一つです。

もう一つは工期の短縮。工期1年の工事が、半年で完成させられれば必要運転資金は半分ですみます。建設会社側は借入金を減らせます。

工期は建設会社がもつ技術力によって左右されます。工期を短縮するために、コストがかかったり、品質が下がったりしては受注できません。よって工程管理を改善することによって工期短縮に成功させなければなりません。
これが可能になれば必要運転資金を減らせ、借入金を減らすことが可能になります。

●設備投資が必要な理由
借入金が必要になるもう一つのケースは設備投資の場合です。
重機や本社ビルなど設備投資をおこなう場合、通常銀行などから借入金をおこす事になります。
企業は競争に打ち勝つ、時代の変化に対応するため常に新しい設備を導入していかなければなりません。最新鋭の重機であり、PCなどの設備も必要です。
これらの設備は投資した段階では利益を生みません。その設備を5年と行った長い期間利用して利益を発生させます。このタイムラグの間を埋めるため借入金が必要になります。

●投資の失敗を避ける
設備投資用借入金を減らすためには、リース契約の利用など契約面の見直しなど対策が考えられますが、最大のポイントは「投資の失敗を避ける」ことです。
不必要な投資は、回収不能になりますので避けなければなりません。
ここではTOC(制約理論)の考え方を紹介します。
TOCの場合、数ある企業の抱える工程、良くない事は、根本的な一つの原因から引き起こされると考えます。営業マン、設計技術者、施工の現場監督の3人しかいない工務店を考えれば、(営業)月1件受注可能→(設計)月3件設計可能→(施工)月2件施工可能 
例えばこのように各人の能力があるとしても、企業全体で月に家を販売し代金をもらえる件数は月1件分でしかありません。受注のない家の設計を行えませんから。
この会社の場合、設計能力改善のためにCADを導入する、施工能力改善のために重機を導入するこのような設備投資をしても企業全体の収入は増えません。受注が月1件しかないのに、設計、施工能力が向上しても工事する家がありませんから。

この考え方をとれば何に投資すべきか判断できます。CADを導入する、新しい重機を導入するこれを個別に考えれば導入した方が良いとなります。しかし企業全体をよくするためには、企業全体として改善しなければならない根本原因への投資しか効果はありません。根本原因が分かっていればそれ以外の投資つまり無駄な投資を避けることが可能になります。

もちろん、現実の企業は3人で行っているわけではなく、沢山の良くないことがあります。TOCではそれら数多くある良くないことの因果関係をたどっていく会議方法「思考プロセス」を行いその企業特有の投資すべき業務はなにかを把握していく活動を行います。

●行政書士として
「工期を短縮する」「企業の抱える根本原因を把握する」この2つを行えば借入金は減少させられ経審評点は改善されます。
しかし、この二つを行う具体的方法は、各関与先それぞれ置かれている環境、もてる資源によって変わってきますので、一様に提案することはできません。よって我々は経審を上げるためにはこういったポイントを改善しなければならないと具体的なポイントを説明し、関与先の方に自ら解決策を考えて頂く。こういった活動を通じ企業を強くし経審を改善していただく事が重要になります。
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