価格へのTOCアプローチ
作成日 2002/1/12
改訂日 2002/2/8
Ver.1.5

[売上70兆円の会社]

戦国時代の武将毛利元就の三本の矢という有名な話があります。臨終の際三人の息子を前にして、一本の矢を折らせ「こうして一本だとすぐ折れてしまう、しかし3本束ねれば容易には折れない」と三人が協力することの必要性を諭した話。

また「うまく連携すれば1+1=2ではなく3にも4にもなる可能性がある。」といった話も聞きます。

しかし「協力する」という事を具体的に考えると1+1は2以上どころか1以上になることはありえません。
たとえば営業マン、設計技術者、現場監督の3人が協力して仕事する工務店を考えます。

・営業マンは月に3件受注できる能力をもっています。
・設計は月に2件できます。
・施工は月に1件できます。

こういう会社だと、この会社の能力は 3+2+1=6 にはなりません。

当たり前ですが、この工務店お客さんに建物を引き渡して初めてお金をもらえます。そのことを頭に入れて考えると、月に引き渡せる建物の数は施工できる1件分ですので、お金がもらえるのは月に最大で1件分です。

この企業の月当たりの儲ける能力 
3+2+1<1

これがTOCでいうボトルネックの概念ですが、ここに何度も書いてますし、言われてみれば当たり前の事です。

<全体の力は最も弱い1カ所が決定する>

TOC制約条件の理論はこの1文であらゆるものの見方・行動が変わることを説明しています。

先ほど会社の場合、営業マンが頑張って月10件受注しても、月1件しか施工できない監督のプロセスを通る限り意味がありません。頑張っても受注残が増えるだけ。納期を守れなくなるので信用も失います。

この会社全体の能力を向上させるならば、 4つのプロセスを繰り返す必要があります。

1.まず一番生産能力の低い現場監督の能力を向上させなければなりません。
ムリ・ムダ・ムラの徹底的排除などありとあらゆる事をして能力を向上させます。

2.他の人は、現場監督を助け現場監督のペースにあわせて仕事しないといけません。

営業マン・設計技術者の、ムリムダムラを取り除いて効率化したりしてはいけません。効率化しても余計な仕事をして在庫を作るだけで損失が発生するだけです。
営業マン・設計技術者は、現場監督に「お前のせいで〜」なんて不平を言っても何も良くなりません。弱い人を助ける行動をとる必要があります。
「助ける」とは、例えば施工が始まってから設計変更を繰り返し現場監督を困らせると会社全体の売り上げはどんどん下がります。ですので営業マン、設計技術者はできるだけ現場監督に負担がかからないようしっかり顧客要求事項を固めておくなど弱い人を助ける活動を具体的に行うという事になります。

3.ここまでやってまだ監督がもっとも生産能力が低いならばお金をかけて投資を行います。
もう一人雇うとか、設備投資するとか

4.改めて仕事の流れをみて能力を確認します。
もしかすると
営業3+設計2+施工3 < 売上2
と一番弱い人が設計に変わっているかもしれません。変わっていれば今度は設計技術者を中心に上記の改善プロセスを行います。弱い人を間違って捉え相変わらず監督に投資したらその分はすべて損失になります。

・仕事は一人でやってるんじゃない
・頑張っても意味がないという事はありえる。

当たり前といえば当たり前なんですが何故か忘れて一人自分の持ち場で頑張ってしまいます。チームで仕事する現実の企業では無意味なことです。

[価格の計算]

企業・チームとは以上のような形をしています。その上で現実の価格設定をどうすればいいのか考えていきます。
公共工事の価格の話は非常に色々話題になりますが、どうすればいいのか明確な所に迫っている話はなかなかみつかりません。

>>>価格の本当の姿は、「価格はその製品の効用と価値にたいする顧客の感じ方の関数」であると言うことです。価格は、製造原価の関数ではありません。したがって、通常「原価」に上乗せして製品を販売しようとしている会社は、製品の効用と価値に対する顧客の感じ方に対する「価格」で販売しようとしている会社より成功しません。<<<<
「制約理論(TOC)のインプリメンテーション」MJウォッペル著には、この様に書いてあります。何のことかわかりません、、、、、(^^ゞ

私なりに訳してみると、「価格はお客さんの感じる価値によって決まるわけで、自社の原価を積み上げて決めたものが価格になるわけではありません。自社中心に価格を決めている会社は、お客さん中心に価格を決めている企業に負けてしまいます」といった感じでしょうか。

たとえば、家を建てる場合建設会社に見積もりをお願いします。予算1千万円位で考えていたとします。見積もりをすると2千万円だったとしましょう。建設会社はその価格を提示しました。

では、お客さんはどうするでしょう。1千万円も差がありますので通常家を建てるのをやめるでしょう。あまりにも差がありすぎます。

営業マンはそれで引き下がったら駄目なので、その予算ではこういった感じで建てたらどうですか?といった形で提案します。それに同意してくれもう一度積算したら1千万円になって「建てましょう」という事になるかもしれません。

建売住宅だったらどうでしょう。ある土地に家を建てるとして、計算すると3千万円になりました。しかし営業さんは、世間の状態をみると2千万円以上の建売住宅は売れそうにないと考えています。2千万円以下の価格で売れる物を作るよう指示します。建坪を減らした小さめの家を設計して2千万円で販売しようと決めます。

こんな例が考えられます。ここでの価格の決定はすべて原価の積算ではなく、お客さんの都合を考えて決定しています。そうしなければなかなか売れません。

○○円でしか建てられませんと頑固になっても商売になりません。

色々仕様が決まっていれば○○円以下ではできないというケースが出てくるでしょう。ではその○○円というのはどうやって決まるのでしょう。

自分は色々積算の事が分からないので色々聞いてみたのですがなかなか難しくて理解できません。それでもあえて考えてみます。

例えば自分が10日仕事して何か建てるとします。本をみると自分みたいな人は一日2万円かかると書いてあったとしましょう。10日×2万円なので20万円で出来ますと積算しました。だから20万円でやります。

これ変です。その一日2万円と書いている人は、私の給料知ってるのでしょうか?一日2万円の人ってどこの誰でしょう。外注さんならまだわかりますが自分の事ならどう考えても変です。現実の建設業の積算は、このようなやり方で貴重な時間を沢山使い積算していきます。
ある方はこう表現していました。

>公共工事の金額当てクイズ<

では、自分が去年貰った給料、仕事した量から自分の単価を割り出して10日かければ良さそうです。標準原価計算による自社歩掛の計算です。しかしこれも変です。なぜなら去年の仕事量と、一昨年の仕事量、今年の仕事量は違いますので計算すると異なった単価が出てきます。しかし去年も、一昨年も、今年も給料はほとんど同じ金額なので計算あわなくなります。

よく考えたら自分一人で家を建てる訳じゃない。会社には営業マンも、事務員もいる。この人の分も計算して積算しないと事務員の給料出てこない。もっと厳密に営業マン、事務員のコストも日割計算して積算しよう。こういう計算をABC/ABMと言います。
この計算非常に大変ですが、さっきの自分の単価と同じ理由で計算結果おかしな数値になります。

結局の所「色々もっともらしい計算してみたりしてるが、そんな計算おかしい」これがTOCスループット会計の考え方です。

TOCスループット会計では、その建物に明確に配布できる材料費・外注費などの費用以外は計算はムリなので計算しても意味がないといいます。意味がないだけならいいのですが、計算の結果赤字なので受注しないなど意志決定をした場合大きな損失を被る可能性があると指摘しています

じゃどうやって積算したらいいの?って事になるのですがそのことはTOCには書かれていません。TOCや製造業では価格は世の中(需要と競争)によって決まるので積算するとう発想自体がないのです。

理屈はよく分かるのですが、現実は積算しないといけません。。。。うーん。
スループット会計では、外注費+材料費など外に払う費用以上の価格なら常に儲けが出ているので受注していいと考えています。
例えば
外注費+材料費など外の費用が80円
給与+設備など内の費用が10円という会社の場合

価格が81円で受注すると 81円ー80円ー10円=ー9円
利益が出ないので受注しないとすると
0円ー0円ー10円=ー10円

81円で受注した方が損が1円少なくてすむからです。

ただしこれでは利益が出ないので経営が成り立たなくなります。決して安値で受注しろと言っているわけではありません。
10円の固定費をリストラ等でで1円まで下げれば成り立つと一応考えられますが、普通の建設会社はもうすでに限界までリストラしているので無駄などありません。

そこでこう考えます。自社の資源を使って最大限儲かる「最も良い価格」はいくらなのかと。自社は少なくともいい製品を提供できる、お客さんも頭を使って選んでくる。ならば、貰えるだけ最大の儲けを得ていいはずだ。

自社で施工・設計できる数は限られています。その限られた資源で最大の儲けを出さなければなりません。

こう考えるそうです。なんとなく分かるのですが、いまだはっきりしません。。。




[価格の設定2]

ここまでの話をまとめると

======================
積算によって価格を決めている会社と、世の中の状態によって価格を決めている会社では後者の方が成功する。

費用には、外注費・材料費など外に払う費用と、給与・設備費など会社の中に払う費用がある。

「売上-外に払う費用」を「儲け」
「売上-外に払う費用-会社の中に払う費用」を「利益」という言葉で統一する。

TOCスループット会計の考え方では、「利益」がでなくても「儲け」のある仕事なら受注して良い、なぜなら受注しないより損失が小さくなるからだ。

会社にとって最も良い価格は、お客さんが納得する価格のうち、一番儲けが大きくなる価格だ。会社の能力を最大限使って儲けを大きくする価格設定をする必要がある。
======================

こういう事でした。では、会社の能力を最大限使って儲けを大きくする価格とはどういう事でしょう。

昨日の例(外費用80円内費用10円)の工事を81円で受注したとします。利益は出ませんが、受注しないよりは会社全体の損失は小さくなります。

現場監督が一人しかいない会社で、この工事工期1年だったとすると、もし次の日に120円の価格の工事発注があっても折角利益のでる工事なのに受注する事ができません。

誤った意志決定をしたことになります。このケースでは会社の能力を最大限使って儲けを得られませんでした。こういった誤った意志決定をさける価格設定をしなければなりません。

では会社の能力とはなんでしょう。2002-1-22 (火)[売上70兆円の会社] の会社で、会社全体の能力は、会社の中で色々存在している工程の中で最も弱い一点が決めると書きました。

22日の例では、施工の現場監督が最も生産能力が低く、全体の能力を決めています。この会社では、会社の能力とは現場監督の生産能力という事になります。

この考え方で行くと「会社の能力を最大限使った」とは「現場監督の生産能力を最大限使った」と同義です。ですので現場監督の能力を考えて最大に儲けられる価格は幾らか考えなければなりません。例の会社での設計技術者、営業マンの能力は、余裕がありますので、費用になんの影響も与えないと考えて価格設定すればいいのです。

>先ほど会社の場合、営業マンが頑張って月10件受注しても、月1件しか施工できない監督のプロセスを通る限り意味がありません。頑張っても受注残が増えるだけ。納期を守れなくなるので信用も失います<

と22日書いています。この会社は建築の会社で、現場監督は建築の監督の場合、営業さんが10件受注してきても施工が1件しかできないのでお金をもらえません。しかし受注してきた工事の内、9件が土木工事だったらどうでしょう。

土木工事は、社内の建築監督のプロセスを通りません。施工は外注する事になるでしょう。ボトルネックである監督には何の影響も与えません。
このケースでの受注価格は、材料費・外注費など外の費用より1円でも高ければ受注しても儲かります。社内の費用に影響を与えないので、会社全体の利益は1円増加するという事になります。

会社の内にかかる費用を加えて積算する必要はありません。土木受注の場合、社内の建築監督は働きませんが、事務員や営業マンは働きます。この人たちの給与分を付加した価格設定をしないといけないでしょうか?

それは違います。事務員や営業マンは、監督の能力以上仕事できるので、時間をもてあましています。事務員や営業マンは月給制ですので受注量によって変化する費用はありません。ですので損失は発生しないのです。

ボトルネックは会社によってどこにあるのか異なります。営業マンがボトルネックなら計算は変わってくるでしょう。

ボトルネック工程を通らない受注は、儲けが1円でもあれば受注すべき。


こう結論づけられます。


どうでしょう。これ当たり前でしょうか?では当たり前の行動を実際にしているでしょうか?

価格の決定は非常に難しい話ですがあえて書いています。ご意見いただければ幸いです。価格の決定にはもう一つ重要な話があります。「その価格設定をして今後にどんな影響を与えるか」という問題。ここも考えておかないと誤った価格設定をしてしまいます。





[どうやって価格の意志決定すべきか:科学的どんぶり勘定]

この会社は社員3人、営業マン、設計技術者、現場監督の3人だけの会社です。
・営業マンは月に3件受注できる能力をもっています。
・設計技術者は月に2件設計図書を作れます。
・現場監督は月に1件施工できます。

この会社の月にお金を儲ける能力は、3+2+1=6ではなくて
1件分以下です。会社全体の能力はボトルネックである現場監督の能力以上にはなりません。

では、この会社の価格設定はどうするべきか考えます。

例えば3件の指値での工事依頼があったとします。
1千万円、2千万円、3千万円の3種類の工事です。すぐに工事にかからないといけないので、どれか一つを選ばないといけません。

通常原価を積算して判断することになると思います。外注費、資材費と社内コストの損料計算等々を積み上げて原価を計算します。
社内コストは自社歩掛や単価を計算しておいてそれを使わないと正確ではないでしょう。更に営業マン、設計料も計算に含めて積算し利益が幾らになるか計算しないといけないでしょう。
そして価格から原価を引いて最も利益の多い物を受注すれば良いでしょう。
これが今まで会計の世界でよく言われてきた計算方法です。

しかしスループット会計ではこんなに難しく計算しても間違えるだけなので、非常に単純に考えます。外に払う費用だけを積算すればいいのです。

外に払う費用=材料費・外注費などその工事が無ければ発生しない費用
儲け= 価格 - 外に払う費用 =スループット

(単位:万円) 価格 外に払う費用 儲け
工事A 1000 500 500
工事B 2000 1000 1000
工事C 3000 1500 1500

適当に数字書いたのでおかしいかもしれませんがこうなったとします。
そしてボトルネックの作業時間を見積もります。この会社でのボトルネックは現場監督でしたので、現場監督の作業時間です。法律通り施工していれば工期と同数でしょう。

工事A20日 工事B50日 工事C 80日だったとしましょう。

この工期で儲けをわり算して一日あたりの儲けを計算します

工事A 500/20=25
工事B 1000/50=20
工事C 1500/80=18.75

こうなります。
最も儲かる工事は「工事A」です。
ボトルネックの時間あたり儲けが最大の物が最も儲かる仕事という事になりますので一日あたり25万円のAが最も儲かります。

簡単ですね。

このような計算は実は現場の中小企業叩き上げの人なら直感的に行って判断しています。ある方はこれを
「科学的どんぶり勘定」と表現しています。

ところが原価管理を学べば最初に書いたややこしい計算になりますし、原価管理システムを導入すれば先に書いた方法で自動的に計算が行われます。さらに詳細にとABC/ABMを導入すれば更に先の計算が細かくなります。
しかしこのような標準原価計算の方法を基にして判断すると誤った判断をしてしまいます。たぶんCになるでしょう。

??と思った方は、更に詳細な解説のある「制約理論の広場」スループット会計をお読みになり自分で計算してみてください。

「ボトルネック以上にスループットは増えない」という考え方から「ボトルネックが会社の儲けの全てを握る」「ボトルネックの単位時間あたりの儲けから意志決定しなければならない」という結論が導き出されます。

これを具体的考えて計算すると上のようになるのです。書くとややこしい気しますが、やることは以前の方法よりずっと単純です。

今建設会社を経営している人ならちょっと変だなと思うかと思います。それは500万円の指値工事が完成した後、仕事くるのか?と思うからだと思います。
例の会社の場合、市場ではどんどん発注が行われており、営業マンは月3件受注する能力があるので仕事は月3件来ます。ですので以上の計算で問題ないのです。

しかし今普通の建設会社はそんな状況にはないでしょう。市場の発注自体が少ないので営業マンの能力がいくらあってもなかなか受注はできません。この状態を市場制約の状態と呼びます。

TOC入門―「実践者のための」導入ノウハウ・手順村上 悟 (著)ではこう書かれています。

>>市場制約は、改善の5ステップを実践し、リードタイム短縮や納期遵守率の向上、また生産性向上による価格政策、品質向上などの実力向上によって市場を開拓するほか、マーケティング政策を変更し、市場をセグメント化したきめ細かい価格政策、製品のリブラインドによる新市場の開拓、さらに、新製品の開発などによる受注増といった対策で解消する必要があります<<


少々わかりにくいかと思いますが、私流に書くと、
・「はやい、うまい、やすい」製品を提供する。
・営業方針を変える。
この2つの対策が考えられるという事です。もちろん何となく変われませんので具体的に「TOCを展開して」実行する事になります。

営業方針変更で考えておかないといけないことは

・利益なしでも儲けがあれば、受注しないよりは会社全体の損失は減少させられる

・いままでの積算方法は間違っている可能性が高いので価格計算方法を考え直す必要がある。

・その価格設定をして今後の市場にどんな影響を与えるのか

・市場をセグメント化するって何?

この4点。ここの所はまた今度。



[価格営業方針変更]

土曜日ですが今日もまた価格に挑戦でございます。2/8に営業方針変更で考えることを4つあげました。

>>>
・利益なしでも儲けがあれば、受注しないよりは会社全体の損失は減少させられる
・いままでの積算方法は間違っている可能性が高いので価格計算方法を考え直す必要がある。
<<<


まずこの二つが前提になります。今までの思いこみを捨てれば、今より安い価格設定が出来そうです。その上で

>>>
・その価格設定をして今後の市場にどんな影響を与えるのか
・市場をセグメント化するって何?
<<<

この2つを考えます。ここからの考え方はマーケティングとよばれる領域になります。いわゆる販売管理ですが、このサイトの分類の販売管理に掲載しているコンテンツ数を見ていただくと数が少なく私も色々勉強しているとは言えない専門外の部分です。

マーケティングとはPコトラーの「マーケティングマネジメント」が最も有名ですが、色々な具体策の前提には「会社の都合で考えるのではなく、顧客の立場で考えなければ儲からない」という事があります。

2002-2-1 (金)[価格の計算]で、「価格はその製品の効用と価値にたいする顧客の感じ方の関数」であると書いていますが、この事はお客さんからみた値段はお客さんの価値観で決まると言うことです。

そこでお客さんの立場に立って価格を考えます。
例えば20万円のA0レーザープリンターを考えてみます。
建設会社や建設関連業では、A0プリンターが必要ですので価値があると判断するでしょう。20万円なら安いと思うのではないでしょうか?
しかし私はA0で印刷する業務はありませんので、20万円でも高いと思います。A3レーザーが7万円ぐらいだとすると、8万円ぐらいまで下がらなければ高いと思うでしょう。

このように顧客の価値観は人によって様々です。「高いので買わない」「
安いので買う」「高いと思うがしょうがないので買う」この3種類の顧客がいると考えられます。

20万円のA0レーザープリンターに対する価値観は
私のような「高いので買わない」人は8万円
「高いがしょうがない」人は18万円
「安いので買う」人は25万円


このような分布で3人のお客さんがいたとしましょう。
今の20万円という価格では、「しょうがない」「安い」と思う2人の人が買いますので売上40万円です。

しかしもし色々な価格をつけられ、8万円、18万円、25万円という価格設定で売れば3人全員が買いますので 8+18+25=51万円になりはじめより売上高が増えます。

顧客の望む価値観にあわせた価格設定が出来れば売上は増えるのです。

しかも

その価格が、外への費用より高ければ儲かります。

この理屈はおわかりになると思います。
では問題は、同じ商品に色々な価格設定などできるのかという事になります。一物一価への挑戦です。

この話は航空業界の話がよく紹介されています。日本でも航空券は、同じ航路でもいつ予約するかによって、値段が異なります。「早割」という奴です。このように顧客の行動を考えて同じ商品が違う価格で売られるというケースは色々あります。

>>マーケティングの基本理論である、拡大製品という考え方を使うんだ。つまり君の会社が売っている製品は単にプリント基板というモノではなく、品質、納期、顧客サービスといった目に見えない要素も製品の一部と考える。とくにお客さんの問題を解決してくれる要素が一番大切なんだ<<

米国製造業復活の秘密兵器 TOC革命―制約条件の理論稲垣 公夫 (著)ではこのように考え方の枠組みを書いています。

この考え方が「市場をセグメント化する」という事です。顧客をニーズ別などに分けてそれぞれの顧客層に理由をつけて色々な価格設定を行うのです。

今まで書いてきた考え方を取ると、ボトルネックの稼働率の低い工事発注の少ない4月〜8月期では、安い価格で工事をしても良いという場合が起こりそうです。

しかし暇な時なので安い見積もりをすると、その価格が波及して、ライバル会社も次の入札で安い価格で見積もってくるという事になります。
これがどんどん波及すると、どんどん値下がりしてデフレスパイラル状態に陥りそうです。今最低予定価格の公表を行っている官庁が増えていますが、入札でガチンコ会社は話し合いをせずに最低価格で入札してきます。一度はそれで受注できますが、次の入札ではライバル会社はそれを見込んで最低価格で入札してきます。結果として、最低価格に複数社の入札が行われ、くじ引きで受注者が決定されるというのが今の現状です。

この様な自体になるので、「その価格設定をして市場にどんな影響を与えるのか」常に考えて価格設定しなくては価格は決められません。外へ払う費用より安い価格で受注するしかない状態では業界は成立しなくなります。

価格は顧客の価値観によって決まります。業者の話し合いで決まるわけではありませんし、会社の原価によって決まるわけではありません。それはスループット会計を使って意志決定しても同様です。
ボトルネックの稼働率が低いので値下げをするという会社都合で価格を決めてはいけません。あくまで顧客の価値観によって決めなければならないというのが大原則です。しかも会社はボトルネックの力で最大の儲けを得なければなりません。

そこでこう考えればどうでしょう。
「理由のない値引きはしない。ただし理由があればボトルネックの稼働率に影響しないところまで値下げをしてもいい。」

この「理由」にマーケティングの拡大製品の考え方を使って、こちらから提案を行って理由をつけた値下げをするのです。

実際の公共工事入札では相当考えないと出来ないかもしれませんが、民間受注、下請受注ではなにか考えられそうです。一度考えてみてください。




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