Q:「りすとら」すると経審の点はどうなりますか?
作成日 2003-7-3
改訂日
Ver.1.5


クリックス通信掲載原稿 1902文字


●公共工事発注総額の減少が続いています。関与先の各社の売上高も年々減少。社員の給与カット、人員整理も考えなければならない厳しい状況にあります。
このような状況の中関与先からタイトルのような人員削減と経審評点の関係について質問される事が多くなりました。この質問にどう答えるべきでしょうか。

●リストラとはRe-structuring事業の再構築というのが本来の意味ですが、日本企業で行われている「りすとら」は人員削減する事という意味になっています。では職員数を減らした場合、経審にどのような影響を与えるか数字を追って考えてみます。

まずX2評点(自己資本及び職員数の評点)に影響を与えます。
職員数÷年間完成工事高(億円)×100
で計算した結果を表にあてはめて評点を算出します。
職員数が減って、売上が変わらなければ評点は下がります。
しかし評点割合が低いため大幅に総合評点が下がると言うことありません。

次にZ評点(技術職員数)に影響を与えます。Z評点は、1級5点 2級2点 その他1点で資格別に評点を与え表にあてはめて点数を算出します。よって人員削減をすると点数が下がります。特に1級の方がやめると大きく評点が下がります。こちらは評点割合が高いため大きな影響を与えます。

次に影響するのは、財務内容の評点Yです。
リストラをするという事は、財務内容が悪い、又は悪くなると予想されているからですが、人員削減を行うと、固定費が圧縮され営業利益額は増えると考えられます。また毎月給与を払うための必要運転資金額も減りますので有利子負債も減らすことが出来ます。
よって、人員削減を行うと財務評点Yは良くなると考えられます。

人員削減の経審への影響は、技術者評点が下がる、財務評点が上がる(維持する)、職員数評点はそれほど影響しない。という事になります。
つまり結論として言えることは「総合評点は上がるとも下がるともいえない」という事になります。

●数字を追いかけていくと、結論がでないという事になりました。これではリストラすべきかどうか決められません。
経審評点は財務諸表などの数字を組み合わせて算出されます。しかしこの数字は社員という人が具体的に仕事をした結果です。では、この数字を生み出す「人」から「りすとら」を考えてみます。

10人の職員で10億円分の仕事が出来る会社と、10人の職員で100億円の仕事が出来る会社とでは後者の方が営業利益が多くなります。効率を高めて少ない人員でより多くの仕事が行えるようになれば営業利益が増加します。

効率を高めるためには、現場で作業をしている一人一人が考え、工夫を行わなければなりません。効率は机の上で考えて良くなる物ではありません。経営者が指示を出すだけで良くなる物でもありません。一番自分の仕事の事を知っている、現場の一人一人が考え、工夫をする。この活動がなければ効率化されることはありません。

●では売上が伸びない環境の中で改善を行い効率化するとどうなるでしょう。

1.現場の皆が考え効率が良くなる
2.いままでより少ない人手で仕事ができるようになる
3.原価計算上粗利益が増加する
4.少ない人手で仕事が出来ても当社は月給制なので支払う給料が減るわけではない
5.効率化したが営業利益は増えない
6.営業利益を増やすため余った人を解雇する
7.営業利益が増える

このような過程を踏んで利益が増えるようになります。もし売上が伸びないのであれば、必ず人員整理を行わなければ利益が増えないという点は重要です。
現場が頑張って改善した上で、誰かを解雇すれば利益が増えるわけです。

しかし「自分が頑張れば、同僚が首になる」という状況に置かれた社員の心の中はどうでしょう。
いつか同僚や自分が首になるために頑張って改善する人などいるでしょうか。このような環境に社員を置けば誰も改善などしなくなります。

松下幸之助を始め日本の経営者は人員削減という手段を好まず終身雇用制を取っています。これは日本人気質がさせる物だという方もいますが、そうではありません。
終身雇用制度は「人員削減を続ければ現場からの改善が起こらなくなり効率が上がらず儲からない」と経営者の立場で考えた方針なのです。

●厳しい環境の中人員削減が避けられない現実が目の前にあります。しかし現場の社員は人間です。数字でも機械でもありません。
数字を追いかければ「りすとら」が経審評点を上げるのか下がるのか答えられませんでした。しかし人の心・経営全体を考えれば、「りすとら」すれば経審評点は下がると答えても良いのではないでしょうか。


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