マーケティング・リサーチ
作成日 1999/5/28
改訂日
Ver.1

企業がマーケティング戦略を立案するためには、標的市場を決定する事、マーケティングミックスを構築する事の2つが必要になります。標的市場に対し的確なマーケティングミックスを構築するためには標的市場の十分な調査が必要になります。そこでマーケティング調査に関する重要な論点をまとめます。(マーケティングミックス構築とは、価格、製品、流通、広告の4つの要素を決定すること)
 
●消費者の購買決定
 
消費者は購買を決定するためにどのような行動をとっているかについて様々な研究がなされています。消費者の購買決定のプロセスは次の5つのプロセスをたどるとしています。
 
(1)問題認識 (2)探索行動 (3)評価行動 (4)購買決定 (5)購買後の評価
 
 まず何か欲しいと問題を認識し、どこに売っているかを探索します。そして見つけた商品を評価、購買決定、買った後使ってみて購買後の評価を行うというプロセスを取っています。
 企業の売上高が低下している原因を究明する場合、この消費者購買プロセスの各段階において消費者がどのように自社の製品購入しているかを分析すれば、効果的な広告、価格設定、製品開発、流通経路設定の4つのマーケティングミックスを設定できます。
 問題認識段階で問題があれば、パブリシティ戦略や提案営業強化などの戦略が取られます。探索行動に問題が上げられれば流通経路の再検討。評価行動では、価格・製品そのものの再検討などの解決策が上げられるわけです。
 
●認知的不協和
 
 最後の「購買後の評価」では「認知的不協和」とよばれる現象が起こります。これは消費者が購買すると、ほとんどの人が「他のにすれば良かったかな?」といった後悔の気持ちを持つ事です。しかし消費者は自分の決断は正しかったと思いたいと言う欲求を持っています。そこで自分の決断が正しかった事を説明する情報を集めようと消費者は行動しだします。
 ここで正しかった事を説明する雑誌、広告などを見つけられると、次回の購買や口コミといった行動をとる訳です。情報を得られない場合次回の購買意欲はかなり低減します。この消費者の心理を適切につかんでいるかどうかは広告戦略立案の中で大きな差を生み出します。
 
●アイドマモデル
他に有名な消費者の購買決定プロセスとしてAIDMA(アイドマ)とよばれるプロセスがあります。注意(Attntion)→興味(Interest)→欲求(Desire)→記憶(Memory)→行動(Action)この頭文字を取ったものです。
 
●購買の決定要因
消費者が購買を決定する時に影響を与えるものは3つに分けられます。
(1)文化的特性  カルチャー・サブカルチャー・社会階層など
(2)集団的特性  家族やグループなどの準拠集団
(3) 個人的特性  個人の知覚・信念・学習など
 
文化的特性から影響を受け、集団的特性から確信を得て、個人的特性で購買決定をするというプロセスになります。このプロセスの理解も広告戦略・ブランド戦略に影響を与えます。
 
●消費者行動のモデル
 
 上記のような消費者の行動がどのようなプロセスをたどるかを研究するモデルを行動科学モデルとよび「ニコシアモデル」「ハワード&シェスモデル」などが他にあります。
 ブランド選択の確率を分析したりする計量的な研究モデルを計量モデルとよび「ベルヌイモデル」「マルコフモデル」など様々な消費者行動の研究がなされています。
 
●マーケティング調査
 
マーケティング調査は、市場の不確実性を出来るだけ削除して意志決定をするために役立てる事を目的として行います。手順は以下の様になります。
 
目的の明確化 → 調査計画立案 → 調査実施 → データ分析 → 報告書作成
 
 調査実施方法としては、質問法・観察法・実験法の3つが上げられ、多くの場合調査対象は無作為抽出法を取る事になります。電話・郵送・面接などの方法でデータを収集します。POSシステムから得る情報もこの一つです。しかしデータ収集には多額の費用が発生するためアウトソーシングするのが通常の手段となります。
 
記述モデル
 データ分析は目的により記述モデルと予測モデルの2つに分けられます。記述モデルとは集めた情報を単純化するためにもちいられる分析方法で、企業イメージやブランド力のポジショニングなどを目的として利用されます。
分析方法としては、主成分分析・因子分析・クラスター分析・多次元尺度法などがあります。
予測モデル
 データ分析方法のもう一つは予測モデルとよばれ、市場規模の予測などに利用されます。ダイレクトメールの発送数と来客者数の間に一定の法則を見つけられれば将来の来客者数を予測できます。この様な将来を予測するための分析を予測モデルと言います。分析方法としては、回帰分析・分散分析・判別分析などがあります。
 
 
●中小企業のマーケティング
 
 マーケティング調査という言葉は大企業のものといったイメージが強いものですが、パソコンの普及ににより中小企業でも利用が可能になってきました。回帰分析やクラスター分析といった分析手法はMS-エクセルの中で利用でき、情報収集もインターネットの利用、データベースの構築が容易になったことにより可能な環境が出来つつあります。
 資源の少ない中小企業は、規模から考えると大企業に真っ向から対峙して勝つことはほとんど不可能です。新しい市場を切り開いても、後から大企業に低価格で挑戦されればなかなか勝てないでしょう。よって中小企業は、新しい商品、新しい市場に常に挑戦し続けなければ生き残っていけません。リスクに果敢に挑戦する事が中小企業本来の存在理由ですが、思い切って新しい事を実行するためにマーケティング調査を十分行える環境を構築する事が大事になってくるでしょう。

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