生産管理の基本的考え方
作成日 1999/5/27
改訂日
Ver.1

生産管理の全体像
■生産情報システムの役割
 生産活動とは、そもそも顧客の要求する納期、品質、コストを守りながらすばやく製品を渡す活動だ。
これを実現するため生産活動を計画、実行、管理しなければならない。この管理活動を生産管理と呼び、コンピュータシステムを導入して管理活動を支援する物が生産情報システムだ。 



このためまず生産管理とは何かを理解しなければならない。生産管理の基本機能として計画(PLAN)-実施(DO)-管理(SEE)の8項目を挙げる。

■PLAN

1.需要予測
まず顧客の要求する製品はどの位作る必要があるのか考えなければならない。何をどの位作るのか決めて初めて計画が立てられる。
 パソコンなど商品を見込みで生産する業態では需要の予測を誤ると全ての計画が狂ってしまい大量の在庫を抱える事になる。一方建設業など受注を受けてから初めて生産を開始する受注生産方式の場合は、受注予測の必要性が少なくる。

2.販売管理
顧客の要望は何かを十分把握してから生産計画を立てなければならない。要望を無視してはどんな計画を立てても市場に受け入れられず生産管理が成功することはないだろう。この場合の要望とは、コスト、性能、スピードの3つ(QCD)が主な物になる。この情報を基に開発及び設計を行う。

3.生産計画
上記2つを基に、何をいつ、どこで、いつまでに製造するかを大日程、中日程、小日程の3つ計画する。


■DO
実際の製造、施工を行う

■SEE
計画を立て実行した後は、計画通り進んだのか検討しなければならない。これを客観的、定量的に把握する手法を理解する必要がある。


4.購買、外注管理
材料が必要数調達できるかどうかの検討、外注先の指導など。

5.在庫管理
製造に必要な部品をどの位確保しておくべきかを管理する。

6.日程管理
顧客の要望する納期に間に合うか、決められた計画どおり進んでいるかを管理する。

7.品質管理
顧客の要望する品質に達しているか管理する。

8.原価管理
顧客の要望するコストに押さえているか管理する。


この生産管理の項目では、上記それぞれの概要と実践技術の基礎知識そしてトータルな生産管理を支援する生産情報システムを解説する。


生産計画



生産計画とは、需要予測と顧客ニーズを把握した上で、生産する製品、納期、数量、場所、工数を計画する事だ。3つの計画を立てるのが一般的だ。
1.大日程計画
6ヶ月〜1年あたりをめどに経営者が立案する。販売計画、需要予測を見ながら作成し、新規雇用計画、設備投資計画、新製品の開発などに利用する。
2.中日程計画
1ヶ月〜3ヶ月をめどに製造部長が立案する。大日程計画に基づき日別の予定が職場ごとに作成され作業手配が行われる。以下の4つの計画が必要。

 手順計画
設計図に基づき工程と内容の検討、各工程に必要な3M(人、設備、資材)を決める

 資材計画
手順計画に基づき資材の種類、量を検討手配する
 工数計画
手順計画に基づき人、設備が充足するか検討する。外注の依頼も検討する。

 日程計画
工数計画に基づき日程を計画する

3.小日程計画
1日から1週間を対象に職長が立案する。


中小建設業では、大日程計画は発注者又は元請が作成する事が多いだろう。よって中日程以下の計画を作成する事になるだろう。

受注生産方式である建設業は、納期短縮のため受注から迅速に計画を
立案、手配しなければならない。手順計画から資材計画及び工数計画への
迅速な展開を支援するシステムの導入が不可欠だ。

日程計画及び小日程計画にはMS-PROJECTの利用が有効であろう。


5.在庫管理



■在庫管理とはなにか

在庫管理とは製造部門に対して材料の品切れを防ぐため在庫量を適正に保つ管理活動だ。
この論点として必要な部品の数量を把握する方法、適正な在庫量の把握について記載する。

■正味所要量計算

中期生産計画をたてる段階で必要な材料数がいくつかを把握する計算を行う、これが正味所要量計算だ。これを基に資材所要量計画を立てる。

●総所要量計算
総所要量とは、生産計画で建てられた製品の生産数量に必要な部品の数の事だ。
計算を行うためには各製品に必要な材料を部品構成表を基に展開する必要がある。
部品展開表には以下の2種類をあげる

サマリー型部品表
製品に使用する全部品を親子の数量関係で一覧表にしたもの。
リードタイムや組立順序は記載しない

ストラクチャー型部品表
部品の親子関係、リードタイム、組立順序まで記載したもの。
的確な情報が得られるがコンピューターを利用しないと管理できない。



●正味所要量計算
総所要量から有効在庫数を差し引いた数が正味所要量だ。
有効在庫数とは、現在の在庫と購入分から出庫予定の数を差し引いたものである。
つまり以下の式のようになる

有効在庫数=現在の在庫+入庫予定数−出庫予定数
正味所要量=総所要量−有効在庫数

正味所要量を計算できればこれに材料納入にかかる時間(リードタイム)を加えて資材手配計画を立てる事ができる。


■在庫管理


●定量発注方式(その1)
材料がだんだん減っていきある量まで減ったときに発注を行う方法を定量発注方式とよぶ。発注する量がいつも同じなので発注事務が簡単になる。
発注する量さえ把握できれば、発注量分はいる箱を2つ作り1つの箱が無くなれば発注すればよい。(ツービンシステム)

それでは最も経済的な量を計算する方法を紹介する。

1日の必要な量がわかっている場合は簡単に考えられる。
調達にかかる、日にち分在庫を確保していれば良い。

発注点=1日の需要量×調達日数

しかし需要量にはバラツキがあるだろう。そこで安全の為確保すべき安全在庫を確保しておく事になる。安全の為確保する在庫量は、需要のバラツキ、欠品の許される率を考え次の量確保する。これが安全在庫量だこれが求まれば安全在庫量分入る新たな箱を用意して3つの箱を管理すればよい。(三棚法)

発注点=1日の需要量×調達日数+安全在庫これが発注する量だ。


●定量発注方式(その2)
1日に必要な量がはっきりしない場合年間で考えてみる。
在庫管理にかかる費用は、運送料や発注事務費用(発注費)と倉庫の維持などの在庫費用がある。この合計が最も少ない発注量がわかれば良い。
発注回数を減らすと発注費用が減るが、在庫費用がかさむ。逆もまた同じ事になる。
つまりトレードオフの関係になっている。この合計が最小になる発注量は以下の式で求められる。

年間の発注費用=1回あたりの発注費用×年間の発注回数
年間の在庫費用=1つあたりの在庫維持費×年平均の在庫量
「年間の発注費用」と「年間の在庫費用」が同じになった所が最小の費用となる事が数学的にわかる。

つまり最も経済的な1回あたりの発注量は
(1回当たりの発注費用×年間発注量×2)÷1つあたりの在庫維持費これをルートすれば求まる。

○例
調達費200円の電車賃で買う事のできる卵で考えてみる。在庫維持費は、1個あたり冷蔵庫の1%のスペースを裂かなければならないとして100円としよう。
卵は10円で1年間に10,000個の卵がいると正味所要量計算できている。よって年間発注量は100,000円だ。


1回あたりの発注費用200円×年間発注量100,000円×2)÷100=400,000

これをルートすれば632よって1回に632個買えば経済的である。


●定期発注方式

上記の方法は、需要の変化に対応できない、そこで発注する時期を定期的にして必要な量だけ購入する方法がある。これが定期発注方式だ。月末にいつも足りない分購入する場合はこの方法を取っている事になる。
次の発注までの間隔に必要な数と、調達期間にかかる数を購入すればよいわけだが必要数を予測するには、移動平均法や指数平準化法をつかう。また生産計画に基づいて購入するには生産計画で出された数に誤差を掛けて購入する。
さらに安全在庫分も確保しておく必要がある。



■安全在庫



定量、定期発注方式ともに安全在庫分を考えておかないと行けない。安全在庫を求めるのには以下の式をつかう。

○安全在庫量=安全係数×標準偏差×調達期間のルート

調達期間のルートに欠品の許されない割合(サービス率)より安全係数をもとめばらつきを修正する標準偏差をかけ込めば求まる。
定期発注方式では、調達期間に発注間隔を加えて計算する。


●どの方法を選ぶか

定量発注方式では需要の変化に対応できない点、定期発注方式では発注事務が猥雑になるのが欠点だ。よって在庫品のいくつかを定量、いくつかを定期とするのが良い。
どちらの方法を採用するかは、在庫品のABC分析を行って量の多いAの製品を定量発注方式、BCを定期発注方式にするとよいだろう。

定量発注方式に向くもの
単価の安いもの、調達期間が短いもの、需要が安定しているもの
定期発注方式に向くもの
単価の高いもの、調達期間が長いもの、需要の変化が激しいもの



■資材所要量計画(MRP=Material Requirements Planning)


上記のような管理を正確に行うとなると製造部門の力だけではとうていおぼつかない。
そこで情報システム部を利用してMRPと呼ばれるシステムを構築する事を考える。

●MRPとは
MRPとは広義には生産活動全てを管理するトータル生産情報管理システムだ。狭義には製品の生産計画に基づき必要な部品の所要量を計算するシステムである。

MRPによる生産管理では、生産計画の基になるもの(基準生産計画)が必要になるこの計画を環境変化に応じてすべて再計算する方法(リジェネレーション法)又は条件変化により影響がある所だけ変更する方法(ネットチェンジ法)を使い生産計画を作成していく。

部品表を基にして必要な数量を計算する事をMRPロジックと呼んでいる。
製品そのままで出荷するもの(独立需要品目)は営業部による販売予測が決定要因となる。
製品の部品(従属需要品目)は独立需要品目の製造数が決定要因となりストラクチャ型部品表
により計算する事ができる。また手配オーダーのロットサイズを決めるPPB法も利用される。

日程管理・工程管理



生産計画を基に立てられた日程計画にそって順調に作業が進んでいるか進捗管理する。
日程計画管理は、納期の遵守以外にも生産性の向上、在庫の低減などの効果がある。

1.ガントチャート
計画段階の日程を棒グラフで図表化し、それに実績を記入することで作業の進捗を管理する。利点として、容易に作成でき進捗把握がビジュアルに確認できる。欠点は作業の前後関係が明示しにくい事。



2.PERT
作業をこまかい単位(タスク)に分解し前後関係をネットワーク図で記載
して表す。この図はアローダイアグラムと呼ばれる。
 ある作業が完成しなければ次の作業に移れないなどの前後関係を明確にし、作業開始までに待たなければならない工程はどれか、余裕の全くない作業は何かを把握する。
余裕の全くない作業の連続(クリティカルパス)を見つけだし重点管理する事により計画の遅れを防ぐ事が目的だ。

PERT/CPM
仕事全体の作業時間を短縮する為には、クリティカルパスを早めなければならない。早めるために掛かる追加費用を把握し、どの作業を早めるのが最も効率的かを判断する手法がクリティカルパスメソッド(CPM)である。PERTとCPMは一体の物である。

■納期の管理指標
納期関連の客観的な指標をあげる

      リードタイム(ペーパー、調達、生産)
      納期遵守率=納期内出荷件数÷受注件数





3.プロジェクトマネジメントソフト
MS-PROJECTなどのアプリケーションはこのガントチャート及びPERT/CPMの手法を取り入れたソフトである。従来紙ベースで行われていたガントチャートやPERT/CPMは工程の変更に対応するためには相当の労力が必要であった。これらプロジェクトマネジメントソフトの登場により中小企業でも十分日程管理を行える環境が整ったと言える。

7.品質管理



品質管理は現在では、個々の製品の管理から生産過程全体に移っており、工程の管理が品質管理のポイントになっている。
つまり作業がいつもどおり行われているかをチェックして改善活動を行う。品質低下の大きな要因は作業ミス、情報伝達ミスである。作業情報、伝達情報と物の流れを一致させる事がシステム化のポイントとなる。



品質を向上するためには、品質の状況をビジュアルに提供する必要がある。これに利用されるツールをあげる。

■QC7つ道具

1.チェックシート
チェックする項目を記入した表

2.パレート図
多い項目順に棒グラフをならべ累積数を折れ線グラフで表示する。abc管理で用いられる。

3.グラフ
数値を様々なグラフで表す

4.ヒストグラム
データをいくつかの区間に分けて棒グラフを作る

5.散布図
2種類の項目を縦横にとり分布状況をみる

6.特性要因図
原因と結果の関係を魚の骨の形であらわす。フィッシュボーンともよばれる。

7.層別
データ全体を要因別に複数のグループ分けを行い分別した図を作る


■新QC7つ道具
新しい分析方法として以下の7つがある。
1.親和図表
2.連関図表
3.マトリックス図表
4.系統図法
5.アローダイアグラム法
6.PDPC法
7.マトリックスデータ解析法

■管理図表
横軸:時間 縦軸:品質や製造条件をとって散布図を作り決められた範囲内(管理限界)にプロットされるかをみる。これを管理図表とよぶ7種類ある。
プロットの状態をみて問題がないかを把握することができる。

■OC曲線(検査特性曲線)
抜き取り検査の時、横軸に不良率、縦軸にロット合格確率をとってあらわすグラフ

これら分析を行うとき品質を合格にする基準(管理限界線)を設定するがこれを厳しくすると、正しいものを不合格にしてしまう(生産者危険)が多くなり、不合格の物を合格としてしまう(消費者危険)が減少する。



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