日程管理の基礎とPMソフト
作成日 1999/5/28
改訂日
Ver.1


日程管理は、施工を中心とする建設業にとって最も重要な物の一つです。しかし公共工事の場合工期を勝手に短縮しても評価して貰えないなで様々な問題もあります。ですので「工事は終わったけどとりあえず現場に行かないと行けない」なんて変な事も起こるそうですが、建設業へのプロジェクトマネジメントの適用の研究もすすんでおりこれから日程管理の重要性も増して行くはずです。ここでは日程管理の基本についてまとめてみます。
 
●生産形態
 
 生産の形態を大別すると見込み生産方式と受注生産方式に分けられます。
見込み生産方式の場合、製品を製造した後に受注を受けて顧客に納入します。よって常に作りすぎのリスクが問題になり、需要予測の正確さ、在庫管理の正確さが重要な経営課題です。
 
 一方、受注生産方式は受注があって初めて設計・施工・監理の作業プロセスが始まります。よって在庫を持つ危険性はなく、重要な経営課題は、受注を受けてから生産を行うまでの生産準備業務(設計・見積・日程計画など)をいかに効率化するかになります。
 
 建設業は、建売を中心にする建築工事業や、一部の開発ディベロッパーなどは見込み生産方式での生産も行いますが、基本的に受注生産方式の産業に分類されます。土木工事業は在庫を持ちません。
 
 最近の経営の本や、流行の情報システムの本で盛んに登場するERPなどのソフトは在庫管理に焦点を当てたシステムが多くあります。しかし建設業は基本的に受注生産方式である事に十分注意して読まないと大きく勘違いしてしまいますので注意が必要です。
 
●日程計画
 
 受注生産方式の建設業にとって重要な課題は、生産準備業務の効率化になります。生産準備業務には、コストの大部分を決定する設計業務・施工する方法、順序などを決定する工程設計業務・確実な納期を遵守するための日程管理業務が上げられます。
 
 日程管理とは、施工の日程計画に沿って作業がきちんと進んでいるかの管理をいい、納期を遵守するだけでなく、労務費などコストが日に依存している物が数多くあるため生産性の向上にも大きな役割を持ち、建設業にとってプロジェクトマネジメントの研究実践が大きな課題になっている。
 
●ガント・チャート
 
日程計画を行うツールとして代表的な物がガント・チャートとよばれるグラフです。QC7つ道具の一つです。
計画段階の日程を棒グラフであらわし、それに実績を記入していくことで作業の進み具合を点検します。
 まず受注業務を細かく分類します(タスクブレイクダウン)例えば基礎工事、型枠工事、内装工事などと分けて行くわけです。そして業務を縦軸に作業工程として記入し、横軸に日にちを書き棒グラフで計画を書く。そして実際に作業を開始しすすみ具合を書き込んで行くわけです。
 ガントチャートを利用するとビジュアルに日程の遅れ具合が把握でき管理し安くなりますが、作業の変更や代替案の検討が難しい事が問題です。
 
●PERT
 
 PERTとは各作業の関係を分かり易く表現する方法で、ネットワーク図とよばれるものを書き作成します。Program Evaluation and Reviw Technique の略でアメリカ海軍のミサイル開発計画の日程管理に利用されました。PERT手法はプロジェクト型の仕事の管理に向いており建設業には特に利用しやすいものです。
 
●作成の手順
 
 作業を分解(タスクブレークダウン)→前後関係の明確化 → 所要時間の予測 →ネットワーク図の作成 → クリティカルパスの発見
 
クリティカルパス(重要な経路)とは、その作業が遅れると完了日程が必ず遅れてしまう作業をいいます。これを見つけ重点的に管理しておけば納期を遵守することが可能です。例えば、パンとコーヒーのモーニングセットをお客さんにだす喫茶店をPERT手法分析すると、
 
1.タスクブレークダウン
パンを切る、パンを焼く、コーヒーを入れる、トレイに載せる、客に運ぶ
 
2前後関係の明確化
絶対にパンを切ってからパンを焼かなければならない。パンとコーヒーを作ってトレイン載せて客に運ぶ順序は変えられない。
 
3.作業時間の予測
パンを切る1分、パンを焼く3分、コーヒーを入れる2分、トレイに載せる1分、客に運ぶ1分
 
4.ネットワーク図の作成
パンを切る(1)→パンを焼く(3)→
                 トレイに載せる(1)→客に運ぶ(1)
      コーヒーを入れる(2)→
 
5クリティカルパスの発見
コーヒーを入れる時間を30秒に縮めても客に運ぶまでにはパンが焼き終わらないと行けないので全体の納期は変わらない。よってコーヒーを入れる作業以外の工程がクリティカルパスになる。
 
クリティカル・パス
パンを切る(1)→ パンを焼く(3) → トレイに載せる(1)→ 客に運ぶ(1)
 
客に出すまでの時間は合計6分です。パンをもっと早く焼ければ納期は短縮できます。パンを素早く切れても納期は縮まります。しかし一生懸命コーヒーを早く入れても納期は短縮できません。これを発見するのが最も重要な事なのです。
 
●PERT/CPM
 
 更に一つ一つの作業にかかる時間を短縮するにはいくらの費用が掛かるかが把握できればし、最も安い出費で納期を短縮する方法を考える事もできます。これをPERT/CPMとよびます。切れ味鋭い包丁10,000円で購入すればパンを切る時間が30秒になる。高速オーブンを5万円で買えばパンを焼く時間が1分40秒になる。こういう資料があればオーブンより包丁を買うべきと判断できます。高速湯沸かし器を買うのは言語道断です。
 
 
●プロジェクト管理ソフト
 
 先ほどの作業で「パンを焼く作業」が30秒になる高速オーブンを購入した場合、クリティカル・パスはコーヒー入れる作業に変わってしまいます。パンを切る1分パンを焼く30秒合計1分30秒、一方コーヒーを入れる2分となるからです。実際の日程管理はもっと作業項目が多くなりクリティカル・パスもどんどん変わっていきます。ですので紙にネットーワーク図を書いて分析してもすぐに訳が分からなくなります。。
 
 しかし今では、以上のガントチャート・PERT/CPMの作業をパソコンで行えるプロジェクト管理ソフトが複数のソフトが販売されています。特に安価で有名なのはマイクロソフト社のPROJECT98です。操作もそれほど難しくありません。
 
 建設省は、プロジェクトマネジメントなど日程管理の重要性を強調しています。建設CALS/EC時代に対応するためにこれらのソフト利用をお勧めします。
 
●プロジェクトマネジメントソフトへのリンク
 
ハイパープロジェクト
三菱電機の「M1 for Windows」
マイクロソフトの「MS Project」
久保田システム開発 SureTrak
エムティアイ
ベントレー・システムズ
建設システム「実戦工程表」
 
ハイパープロジェクトのページの解説は分かり易かったです。

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